2019年ノンフィクション本屋大賞にノミネートされた作品を読んだので、簡単にレビューする。
以前、読めなかった本として紹介した『告白』と同様、1冊は私のメンタルでは耐えきれず、読みきれなかった。
どうしても途中までしか読めなかった本『告白』町田康(2019年に読んだ本の追記) - 読書は趣味というより娯楽です
悪しからず、ご了承下さい。
- 『安楽死を遂げた日本人』 宮下洋一
- 『吃音:伝えられないもどかしさ』 近藤雄生
- 『牙:アフリカゾウの「密猟組織」を追って』 三浦英之
- 『ストーカーとの七〇〇日戦争』 内澤旬子
- 『東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか』 中村淳彦
- 大賞作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブランディみかこ
『安楽死を遂げた日本人』 宮下洋一
★★★★☆ 星4つ
日本人女性がスイスで安楽死を遂げるまでのドキュメント。
今回読んだノンフィクションの中では私的に1番心に残っている。
自分、大切な人の死生観について考えるキッカケになった。
【2019ノンフィクション本屋大賞ノミネート作品】安楽死と尊厳死の違いは?自分らしい最期の迎え方『安楽死を遂げた日本人』宮下洋一 - 読書は趣味というより娯楽です
『吃音:伝えられないもどかしさ』 近藤雄生
★★★☆☆ 星3つ
〝もどかしさ〟が率直に伝わる本だった。
「理解して下さい!」「社会を変えてください!」「生きるのがこんなに大変なんです!」とだけ訴えかけられても、歩み寄るのはなかなかハードルが高い。
本書は吃音を持つ人たちの様々な人生のルポであり、吃音が身近にいない私のような人でも読みやすく、吃音を知るキッカケになった。
【2019ノンフィクション本屋大賞ノミネート作品】伝えれない人生の現実を知る『吃音:伝えられないもどかしさ』近藤雄生 - 読書は趣味というより娯楽です
『牙:アフリカゾウの「密猟組織」を追って』 三浦英之
★★★☆☆ 星3つ
日本から遠いアフリカで起こっている悲劇は日本が深く関わっていた。
〝モノ〟〝サービス〟が自分に届くまでの経緯をきちんと知ること。
〝買わない〟〝選ばない〟という選択も私たちは出来る。
【2019ノンフィクション本屋大賞ノミネート作品】アフリカでソウを殺しているのは誰?!『牙:アフリカゾウの「密猟組織」を追って』三浦英之 - 読書は趣味というより娯楽です
『ストーカーとの七〇〇日戦争』 内澤旬子
星なし
ストーカー被害者の体験談。
筆者は私とは違うタイプの人物のようで、私には理解できない行動を次々に取っていく。
しかも、どんどん悪い方向に進む。
第2章からは、どうしても文章が悪口としか思えなくなり、苦しくなって読むのを止めた。
ストーカー被害者本人の体験談は非常に貴重で、勇気のある行動だと思う。
『東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか』 中村淳彦
★★★☆☆ 星3つ
若い世代ばかりが貧困に苦しんでいるのではない。
私より上の世代のルポもある。
著者は男性の貧困も示唆している。
連載中は「贅沢している」「我慢すればいい」「昔はもっと貧しかった」という意見も寄せられたとのこと。
私も同様のレビューを見た。
発展途上国の貧困、数十年前の日本と今の日本の貧困の定義は違うし、比較しても仕方がないと思う。
自己責任では何も解決しない。
だから、社会問題になっている。
大賞作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブランディみかこ
★★★★☆ 星4つ
元底辺学校に通う息子と著者のイギリスでの日常から、いま世界で何が起きているのかを知る。
取り扱っている題材は難しいのにエッセイ調だからスラスラ読める。
EU離脱、人種差別、難民…日本だったらどうだろう?と想像しながら、冷静に読むことが出来た。
これが日本の日常だと穏やかではいられなかったと思う。
どうしても自分の環境、思想等々を比較してしまうので。
※星の数は完全なる私の好み。
星5つ 感情が揺さぶられて、しばらく余韻から抜け出せない本
星4つ 関連した本、著書を読みたくなった本
星3つ 面白かった本
星2つ 納得できない、物足りなさがある本
星1つ 嫌悪感が残った本