ノンフィクション面白っっっ!!
ノンフィクション本屋大賞をキッカケにノミネート作品読み漁っての正直な感想。
もっと早く読んでおくべきだった。
いや、今からでも遅くない。
もしかしたら今読んだから面白さに気がつけたのかもしれない。
私のようにほとんど小説しか読んでこなかった人にも、騙されたと思って1冊読んでみて欲しい。
読書の幅が広がるよ。
- 『極夜行』 角幡唯介
- 『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』 松本創
- 『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』 旗手啓介
- 『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』 青山透子
- 『ノモレ』 国分拓
- 『Black Box』 伊藤詩織
- 『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』 内田洋子
- 『ユニクロ潜入一年』 横田増生
- 『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』 石井光太
- 『一発屋芸人列伝』 山田ルイ53世
『極夜行』 角幡唯介
オススメ度 ★★★ 星3つ
内容
未知の空間を見つけるのが難しくなった現代。太陽光が何ヶ月も届かない極夜を犬1匹と探検し、まっくらな闇の中どのような光景を目にするのか・・・。
感想
まずは本屋大賞受賞の『極夜行』で圧倒的なスリル感を味わって欲しい。
あえて自ら危険な場所に身をおく意味が理解できなかったけど、
ちょっぴり冒険をする意味が理解できたような気がする。
何より角幡さんのおかげで私は日本でぬくぬく過ごしながら、
非日常を体験することができる。
『極夜行』では人間の本質をも丸裸にされる。
更にリアルな本音と巧みな文章で1冊あっという間に読み終わってしまう。
映像ではなく、文章だからこそ伝わるものもあると思う。
『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』 松本創
オススメ度 ★★☆ 星2つ
内容
JR西日本自身による原因究明と説明、そして、組織と安全対策の変革を求める。組織対個人の戦い。
感想
乗客と運転士107人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年4月25日のJR福知山線脱線事故。
テレビで流れた映像を初めて見たとき、あまりにも酷いありさまで状況が飲み込めなかった。
責任追及ではなく、組織を変える。
組織を変えるのはこんなにも難しいことなのか。
現実はドラマのようにはいかない。
『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』 旗手啓介
オススメ度 ★★☆ 星2つ
内容
日本が初めて本格的に参加したPKOの地・カンボジアで一人の隊員が亡くなった。だが、その死の真相は23年間封印され、遺族にも知らされていなかった。
感想
PKOの実態を全く知らなかったことを痛感する。
国際平和維持活動とは、つまり平和ではない場所に派遣されるということ。
情報の少なさ、事前準備の怠り、派遣される経緯・・・・私は日本という国を信用し過ぎているのかもしれない。
嘘でしょ?!と信じられない丸腰状態で任務に向かう隊員たち。
歴史を知るとはこういうことだと思った。
『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』 青山透子
オススメ度 ★☆☆ 星1つ
内容
1985年8月12日、日航123便はなぜ墜落したのか。当時、日航客室乗務員であった著者は、この事故に今なお疑問を抱き、数々の目撃証言をもとに真相に迫る。
感想
真相よりも個人的な感情が際立っているように感じる。
それほど思い入れがあるということ。
映画『クライマーズ・ハイ』くらいでしか事故についての知識がない私には衝撃的な内容だった。
『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』と同様に日本政府に対して、疑問を抱かずにはいられない。
『ノモレ』 国分拓
オススメ度 ★★★ 星3つ
内容
ペルー・アマゾンの村長ロメウは、文明社会と未接触の先住民イゾラドが突如現れたと知らされる。ロメウはイソラドが百年前に生き別れになった仲間ではないかと思い始めるが――
感想
本当にこの時代の話なのか!?
ノンフィクションを読んでいるというよりも、物語を読んでいるような感覚。
地球にいながら未知との遭遇、しかもついこの間の話。
映像もチェックして、前作『ヤノマミ』も読んだ。
どっっっぷり、はまった。
『Black Box』 伊藤詩織
オススメ度 ★☆☆ 星1つ
内容
尊敬した人物からの思いもよらない行為。レイプ被害にあったジャーナリストが、自ら被害者を取り巻く現状に迫る。
感想
本を出すのは相当な覚悟が必要だったと思う。
ここまで酷くはなくても、似たようなことは日常的に存在している。
デリケートな問題なだけに周りもサポートが難しい。
ことがあったことは紛れも無い真実。
既婚者男性の行動としてはアウトだろう。
『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』 内田洋子
オススメ度 ★★☆ 星2つ
内容
イタリアの権威ある書店賞発祥の地がなぜトスカーナの山奥にあるのか。創世期の本を運び、広めた、名もなき人々の歴史が明らかになる。
あらすじ
本が広がった歴史がわかって興味深い。
教科書には決して載らない村人たちの偉業は面白い。
ノンフィクション小説というよりもエッセイ。
写真もあって堅苦しくない。
『ユニクロ潜入一年』 横田増生
オススメ度 ★★☆ 星2つ
内容
サービス残業、人手不足、パワハラ、無理なシフト、出勤調整で人件費削減。著者がユニクロの店舗へバイト定員として勤務しながら書き上げた1冊。
感想
そこまでして取材するの?!
柳井社長への怨みの深さに疲弊しかけたけど、店員として働いたからこその内容のある1冊だった。
いくつか職を転々とした私からするとユニクロがブラック企業だとは思わない。
が、それだけ注目を浴びている日本の大企業として、他の会社より数歩先へ向かわないといけないのだろう。
『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』 石井光太
オススメ度 ★★★ 星3つ
内容
2015年2月20日、神奈川県川崎市の多摩川河川敷で13歳の少年の全裸遺体が発見された。貧困のシングルマザー家庭で育った少年はなぜ殺されたのか。
感想
被害者の育った環境、取り巻く背景を細かい部分まで知ることが出来る。
残念ながら一緒に暮らしていた母親への取材は出来ず、家庭での遼太くんの様子はわからない。
家庭環境が街全体の雰囲気が悲しい事件を生んでしまったのではないかと思わずにはいられない。
『一発屋芸人列伝』 山田ルイ53世
オススメ度 ★☆☆ 星1つ
内容
世の中から「消えていった」芸人たちのその後の人生を、自らも「一発屋」を名乗る著者が追跡取材。
感想
エッセーのような感覚でシンプルに読みやすい。
一言で「一発屋芸人」といっても、芸人一人一人違った経緯があり、面白い。
山田ルイ53世の文章も個性があってよかった。
ただ、上記のノンフィクションラインナップからすると内容が少し物足りないのは否めない。