『吃音:伝えられないもどかしさ』近藤雄生
吃音とは、言葉を円滑に話すことができない状態のこと。
現在も原因はわかっていない。
子どもでは20人に1人、大人でも100人に1人が吃音を持っている。
「よくぞここまで吃音と向き合ってくれました。 吃音を持つ者として、最敬礼。」
内容紹介
自らも吃音に悩んだ著者が、80人以上に丹念に話を聞き、 当事者たちの現実に迫る。
目次
プロローグ 18年前
第1章 死の際に立ちながら
第2章 ただ“普通に”話すために
第3章 伝えられないもどかしさ
第4章 新人看護師の死
第5章 言葉を取り戻した先に
第6章 私自身に起きた突然の変化
第七章 “そのまま”のわが子を愛せるように
エピローグ たどりついた現実
パラメーター
平易・・★・・難解
リアリティ★・・・・ファンタジー
個人的・・・★・社会的
感想
オススメ度 ★★★ 星3つ
正直に書く。吃音を物語のスパイス要素でしか考えていなかった。
例えば、三島由紀夫『金閣寺』の主人公、村上春樹『ノルウェイの森』の突撃隊。
今まで何度も「どもり」「吃音」という言葉を見てきた。
それはあくまでも物語の世界の登場人物の個性。
だから、まさか。
言葉がうまく話せないことによって、自殺に追いつめることまであることだとは思ってもいなかった。
誰もが持つ悩みの一つとして、己で解決できる問題ではない。
コミュニケーション能力が低い、本人の努力不足ではないのだ。
吃音者の状況や環境、悩みは月日の流れと共に変化していく。
私のように吃音に対する知識もなく、周りに吃音を持っている人が近くにいないような人でも、読みながら少しずつ知識を深め、考えられるところがよかった。
関連本
『きよしこ』
本書の帯を書かれている重松清さんの代表作。
吃音の少年が成長していく過程が描かれている。
関連記事
西加奈子さん『円卓』は吃音の女の子が主人公の小説。
ノンフィクション本屋大賞2018ノミネートした全ての本の感想
ランキング
他の記事も読みたくなったら読者登録できます!
応援クリックお願いします