『新世界より』 貴志祐介
面白い小説で検索するとよく出てきていたので、いつか読みたいと思っていて、やっと読んだ。読み始めたら止まらなくて、1000ページなんてあっという間でした。
舞台は1000年後の日本。人類は超能力を身に付け、主人公の早季は昭和の田舎を思わせる自然豊かな集落でのどかに暮らしていた。学校の夏季キャンプで早季のグループは、先史文明が遺した図書館の端末機械である「ミノシロモドキ」と遭遇し、現在の社会が作られた経緯など禁断の知識に触れてしまう。恐ろしい伝説のある業魔、悪鬼は本当に存在するのか?人類を神と崇めるバケネズミの正体は?未来の異様な社会が少しずつ明らかになる。
序盤はノスタルジックなSFファンタジー小説な雰囲気。大人たちの秘密を知りたくて、ページをめくる手が止まらなくなるんだけど、だんだん暗い場面も増えてきて、残虐なシーンも多々ある。秘密に関しては読み進めていくうちに勘付き始めるけど、自分の推理が決定的になると落ち込みます。
ちなみにアニメを1、2話見て、視聴をリタイアした人なのですが、同じ人がいたら原作を読むことをオススメする。映像化するのは難しいと思う。あと、ハダカデバネズミの画像検索には注意して下さい。
★★★★☆
『追想五段章』 米澤穂信
大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生は、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しいと、女性から依頼を受ける。調査をするうちに故人が「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり・・・。
読み始めたら止まらなくて一気読み。父親が残した小説の真相はわりとあるあるパターンなのに、最後まで読めちゃうところが凄い。
「アントワープの銃声」を知るとある年齢以上の日本人読者は「ロス疑惑」を連想するらしい。私はある年代以下のため、ピンとこなかった。「ロス疑惑」を知っている人は違う楽しみ方が出来るのかも。
★★☆☆☆
『黄昏の岸 暁の天 十二国記 8』 小野不由美
「十二国記読むぞ!」と決意し、よく知らぬままエピソード0『悪魔の子』から読み進めた私。頭は???だらけで、正直なところ長いシリーズだから読むのを止めようかと思ったよ。
少しずつ十二国記の世界のルール、地名、登場人物の名前や関係性がわかってきて、難しい漢字を踏ん張って読み進めてきたからか、『黄昏の岸 暁の天』までたどり着いて、話が繋がった時は感動した。そしてね、壮大な世界観に震えた。今までの一つ一つの物語も良かったけど、今回はシリーズものの面白さを改めて気づかされた。
でもさ、次で終わりなんんでしょ?早く読みたいけど、読み終えたくない。今はそんな気持ちです。
王と麒麟が還らぬ国。その命運は!? 驍宗(ぎようそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風の勢いで再興に向かった。しかし、文州(ぶんしゆう)の反乱鎮圧に赴(おもむ)いたまま王は戻らず。ようやく届いた悲報に衝撃を受けた泰麒(たいき)もまた忽然(こつぜん)と姿を消した。王と麒麟を失い荒廃する国を案じる女将軍は、援護を求めて慶国を訪れるのだが、王が国境を越えれば天の摂理に触れる世界──景王陽子が希望に導くことはできるのか。
★★★★☆
『セックスボランティア』 河合香織
話題になりましたよね。
当時、10代の私には衝撃的なタイトルだったし、30代になった今も手に取るのにちょっと躊躇した。河合さんの本を何冊か読んで、内容に信頼出来ると判断して、勇気が出たという感じです。河合さん個人の考えを訴えかけてくるのではなく、読者に委ねるスタイルが好き。
私に障害がないからなのか、障害者が身近にいないからなのか、理解に苦しむ内容だった。あくまでも個人的な問題なのではないかと。心のどこかで自分は関係がないと思っているのかもしれないし、障害の有無関係なく、姓をタブー視している部分があるのかも。自分の性に対する価値観に否応なく向き合う内容だった。
★★★☆☆