悩んでいるママに読んで欲しい!「夜泣き・イヤイヤ・人見知りにも理由があった!最新科学でハッピー子育て」NHKスペシャル ママたちが非常事態?!

 「お母さん、子育てがつらいのは あなたのせいではありません」

番組冒頭のナレーションに多くの母親たちが涙した番組、NHKスペシャル『ママたちが非常事態!?』の出版化。

産後、脳に起こる変化や、親を悩ませる赤ちゃんの不可解な行動を“科学”が解き明かします。

具体的な対処法を提案する「ハッピーヒント」も満載!

 

 

感想

 

ママになる前に読めてよかったです。知識があることで少しは不安やストレスが軽減されることもあると思います。妊娠中の今は毎日のように身体に不調があります。自分の身体ではないようにコントロールできません。それもホルモンが原因、仕方がないことと思うことで無理せず過ごせています。これからの子育てに思い悩んだ時にまた読み返そうと思います。厚くない本なのでママだけでなく、パパも読んで欲しい1冊です。

 

目次

 

はじめに

「ママたちへ」小林欧子(NHK 科学・環境番組部 ディレクター)

「子育て経験は脳を変える」(NHK 科学・環境番組部 チーフ・ディレクター)

1章 なぜか不安。いつも孤独。どうしてこんなにつらいの?

産後、どうしてこんなに不安になるの?

「何の地獄かと思った}/産後劇的に変化するホルモン/誰もが産後うつの可能性を抱えている

ハッピーヒント ママの身近な相談先

ひとりで子育てできないと母親失格?

チンパンジーは孤独を感じない/より繁栄するために進化した人類/不安や孤独を感じるのは共同養育を促すため

ハッピーヒント 地域の人とのいい関係

トピックス 「お母さんにやさしい国ランキング」1位!フィンランド子育て支援ネウボラ

母親なら子育てができて当たり前!?

楽しい時間を共有しても癒されない毎日/知識と経験が母親をつくる/共同養育は母になるための準備/失われた共同養育の場

ハッピーヒント 母性愛神話のホント

2章 「困った」が止まらない。どうする?育児の三重苦。

一体いつまで続くの?~夜泣き~

ママの体を守る「しくみ」が夜泣きの原因に/生まれてからゆっくりと成長する赤ちゃんの脳/赤ちゃんは目を開けていても眠っている?/夜泣きかなと思ってもまずは様子を見て

ハッピーヒント 寝かし付けのコツ

ママ以外はみんなダメ?~人見知り~

いままで平気だったのに急にパパにも人見知り/ママ以外の人の顔を認識し始めるとき/涙の理由は脳の「前頭前野」にあり!/ママを通して「大丈夫だよ」と伝える工夫を

ハッピーヒント 人見知りのしくみ

何がそんなにイヤなの?~イヤイヤ期~

イヤイヤ期の子どもは我慢が苦手/前頭前野が発達しないと欲求は抑えきれない/「ダメ!」と叱っても子どもは理解できない/「ごほうび」で気を引くのはあくまでも緊急手段

ハッピーヒント イヤイヤ期の対処法

3章 こんなにも大変な子育て。夫婦なのに分かり合えないのはなぜ?

ママの「激イラ」の原因は?

0~2歳の子どもを持つ夫婦の離婚率がいちばん高い/オキシトシンが攻撃性を助長する/心地よければ愛情が増し、不快なら攻撃/ママの悩みをパパが真剣に聞いてあげて

ハッピーヒント ママのストレス解消法

トピックス ママを1日育児から解放する パパ集団「熱血組!」

男女の「子育て脳」ってどう違うの?

子育てに協力的なパパにもイラッとくる/パパは赤ちゃんの泣き声に反応しにくい/パパに反応の速さを求めないで/母親には子育てに有効な特別な脳の回路がある/現代の母親は父親の役目も担う

ハッピーヒント パパたちの座談会 「育児にどう参加してる?」

男性は子育てに向いていない?

男子大学生も子育て体験すると脳が変わる/育児を体験したあとの脳は複数か所が活性化/時には反応が鈍いパパがありがたい場面も

ハッピーヒント ママたちの座談会 「夫の理想的な育児の関わり方とは?」

父親からもオキシトシンが出るってホント?

子育てに関わるほど家族の絆が深まる/オキシトシンには浮気防止の効力あり!?/赤ちゃんを見つめるだけでオキシトシンが出る/安心して預けられる人がそばにいないから

ハッピーヒント 忙しいパパのワークライフバランス

終章 私たち、どうしたらハッピーな子育てができますか?

知りたい!これからの新しい子育てのかたち

共同養育による3つのメリット/さまざまな人が子どもに関わることが必要/子どもは喜びを分かち合える“みんなの宝物”

ハッピーヒント 子育て環境の再構築

トピックス 懐かしくて新しい地域のつながり「地域の寄り合い所 また明日」

おわりに

「科学で理由を知ることの大切さ」井上智広(NHK 科学・環境番組部 チーフ・プロデューサー)

 

視聴者のみなさんからの声

番組解説ページにおける研究者一覧

 

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ベストセラー第3弾!すべてのお仕事女子、社会人へ「幹事のアッコちゃん」柚木麻子

元気がない時も、元気があっても、どんな時でもアッコちゃん!!

すべてのお仕事女子に!

新社会人にも!

幹事のアッコちゃん

幹事のアッコちゃん

 

35万部突破の大人気シリーズ!

第3弾!

 

内容

 

アッコ女史&“永遠の部下”澤田三智子みたび!

「アッコちゃん・ロス」の方々の嘆きが編集部に届き、期待にお応えして、今回はすべて黒川敦子登場の「オール・アッコちゃん」短編集。

とてつもない存在感でいつでもブレない、ご存じアッコ女史が今回もストレートすぎる叱咤激励を連打します!

妙に冷めた若手男性社員、敵意を持ってやってきた取材記者、そして時間がうまく使えない三智子。栄養たっぷりのアドバイスはいかが。

さくっと読めて元気をもらえるビタミン小説、待望の第3弾!

アッコちゃんの意外な一面も!? 

幹事のアッコちゃん

幹事のアッコちゃん

 

幹事のアッコちゃん

背中をバシッと叩いて導いてくれる、アッコさん節、次々とサク裂!妙に冷めている男性新入社員に、忘年会プロデュースの極意を…

アンチのアッコちゃん

敵意をもってやって来た取材記者に、前向きに仕事に取り組む姿を見せ…

ケイコのアッコちゃん

時間の使い方が下手な“永遠の部下”澤田三智子を、平日の習い事に強制参加させて…

祭りとアッコちゃん

アッコ女史にも一大転機が!?

 

感想

 

「ランチのアッコちゃん」が予想に反して面白かったので、第3弾である本作「幹事のアッコちゃん」を読みました。

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仕事や恋愛、人生に悩んでいる人がアッコちゃんと一週間過ごすことで成長するという基本的な内容は変わっていません。アッコちゃんは具体的なアドバイスをするわけでもないのにその圧倒的な存在感と影響力で悟らせてしまうのがスゴイ!

読むとアッコちゃんに憧れる人は多いと思います。私もその一人。アッコちゃんを真似ようにもうまいくいかない・・・だから「アンチのアッコちゃん」はちょっとホッとしました。みんながみんなアッコちゃんのような考え方、生き方じゃなくてもいいんだ!って勇気をもらえます。ついアッコちゃんの全てが正解のように思えてしまって、読むと元気になると同時に自己嫌悪にも陥ってしまいそうになるので。

飛ばしてしまった第2弾も読まなくちゃ!

3時のアッコちゃん

3時のアッコちゃん

 

 

「幹事のアッコちゃん」の料理 ※ネタバレ注意

 

「ランチのアッコちゃん」より食べ物の描写は少ないです。第3話 ケイコのアッコちゃんは料理というより稽古話でした。

 

第1話 幹事のアッコちゃん

月曜日 

屋外「おでん REMI☆REMI」

おでん、ロールキャンベツ

火曜日

新橋ガード下の居酒屋

看板メニューの串揚げ

水曜日

北千住の大衆居酒屋

ポテトサラダ食べ比べ

木曜日

桜木町の焼き鳥屋

焼き鳥

金曜日

銀座一丁目の「マリアージュ

日本酒、子どもも楽しめるお米料理とチーズ

二週間後の金曜日

恵比寿のメキシコ料理の店

ヘルシーな野菜料理、テキーラの飲み比べ

第2話 アンチのアッコちゃん

月曜日

大きなのど飴を入れたマグカップにお湯を入れ、溶かす

火曜日

林檎とジンジャーのすり下ろしスムージー

緑のグズグズ

ショートパスタやマカロニをチキンスープで煮て、ブロッコリーを投入。そのまま汁気が消えるまで煮て、牛乳を入れて塩こしょう。グズグズになったブロッコリーがパスタにからんで、緑のソースになるのよ。ポイントは、もう正体もないほどパスタをくたくたに茹でること。

水曜日

桃の缶詰

木曜日

たっぷりの七味唐辛子をかけ卵を割り入れた鍋焼きうどん

金曜日

梅干しのおかゆ

第3話 ケイコのアッコちゃん

月曜日

児童館でけん玉

クリームシチュー

火曜日

デッサン、油絵

水曜日

梅を干す

梅を混ぜたおむすび、わかめと豆腐の入ったお味噌汁

木曜日

ゴスペル

ほうじ茶、梅を炊き込んだご飯を三角に結んで紫蘇を巻いたものと卵焼き、白梅酢であえたきゅうり。

金曜日

けん玉発表会

第4話 祭りとアッコちゃん

迎え盆~8月13日~

魔法のヘラと秘伝のソースで作るやきそば

8月14日

やきそばパン

8月15日

形見のレシピのソースで作るやきそば

送り盆~8月16日~

シーフード塩焼きそば

Six Months Later

ハッピーロール

 

目次

 

第1話 幹事のアッコちゃん

第2話 アンチ・アッコちゃん

第3話 ケイコのアッコちゃん

第4話 祭りとアッコちゃん

 

著者紹介

 

【柚木麻子(ゆずき・あさこ)】

1981年生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。

2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞受賞。受賞作を含む連作短編集「終点のあの子」でデビューした。15年「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞。主な著書に「早稲女、女、男」「ねじまき片想い」「伊藤くんAtoE」「その手をにぎりたい」「本屋さんのダイアナ」など。「ランチのアッコちゃん」は、“読むと元気になる小説”として人気を得、累計で35万部を超えるヒットシリーズとなっている。本作がシリーズ3作目となる。

 

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謎に包まれた作家生活、母でもある直木賞作家のエッセイ「図書室で暮らしたい」辻村深月

作家の日々は、真剣かつ貪欲。

好きなものが多すぎて、ごめんなさい!

図書室で暮らしたい

図書室で暮らしたい

 

特別収録!短編「おじいちゃんと、おひさまのかおり」

 

内容

 

作家になる前から、作家になってから、 夢中で追いかけてきた小説、漫画、アニメ、 音楽、映画、美味しいもの……etc.

すべてが詰まった、読むと元気になれるエッセイ集!

図書室で暮らしたい

図書室で暮らしたい

 

作家になり、かつて憧れていたフィクションの向こう側に来た今だからわかることがある。読者が作者以上に、その作品や登場人物を愛することはある。自分が書いた以上のものを読者がそこに見ることは多分あるし、その意味で、作品は読者を絶対裏切らない。そんな小説をこれからも送り出していきたいと思う。―本文より

 

感想

 

「図書室で暮らしたい」タイトルに惹かれて読みました。壁一面に本棚がある部屋に住みたい。本好きであれば、誰もが憧れるますよね。

私が作家のエッセイで気になるのがどういう家庭で育ち、どんな学生で、どういった本を読んできたのかということです。面白い小説を書く人は特殊な人生を歩んでいるのではないかと疑っています。しかし、期待はことごとく裏切られ「案外、平凡」というパターンが圧倒的に多いです。辻村深月もしかり。本はかねり熱心に読んでいるが、家族構成も学生生活もいたって普通です。その普通の経験が読者から共感を得ているのかもしれません。

そして、謎に包まれた作家生活。

育児をしながら小説を書く。作家だろうが何だろうが子育てに悩むのは同じことのようです。[クローバーナイト]に反映されてたなぁーと思いながら読みました。でも、やっぱり「作家ってスゴイ!」と思ったのは、憧れの作家と仕事で同席したり、挨拶する機会があるということです。京極夏彦綾辻行人に会うなんて!それは作家なので、当たり前のことなんでしょうが、今まで親近感を感じていた辻村深月もスゴイ作家の一員なんだって気づかされました。直木賞作家恐るべし。

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目次 

 

Ⅰ 週刊エッセイ

富士山とおせっかい

書店員さんのカリスマ性

赤ちゃんとホラー映画

うなぎの季節

なみせん

ドッペルゲンガーの本棚

図書館肝試し

豪雨に降られる

瀬戸内海のサバ

今日は何の日?

母子手帳にできること

おもてなしの一杯

靴を磨く

テレビ越しに同窓会

ジャムを煮る

悩ましいレストラン

インタビューの心得

バイキンマンのマーチ

東京會舘の思い出

日刊エッセイ

なりたい大人

怖い夢

結婚式のスピーチ

子ども番組の楽しみ

幕間の楽しみ

言葉の力

Ⅱ 好きなもの あちこちめぐり ―本と映画、漫画やアニメ、音楽も。

犬と恐怖の記憶

色つきの一週間

お姫様のゼリー

「モモちゃん」から「赤ちゃん」へ

“公共”n『ウォーリー』

始さんの年を越えて

屍鬼』と旅する

「権威のこちら側」の『ジョジョ

ジーザスとユダ 光と影

輪るピングドラム』のこと

こわい漫画

世界とつながる

望み叶え給え

リリィだけがリアル

国民的ドラマを愛せる幸せ

木の向こう側からの手紙

お礼の言葉

Ⅲ 女子と育児と、もろもろの日々

初めてのカツカレー

幸福のスパイス

あの子が消えませんように

おにぎりとの再会

二色ムースのしあわせ

味のないオレンジジュース

驚きの豆腐

女子と文庫

キモノのススメ

成人式の日

ジャイアン”の男気

輝ける花

「大丈夫」「大丈夫じゃない」

かけがいのない場所

紙い帯いる歴史

「岡島」の本屋さん

遠く、離れていても

「大人の薦める本」

出さない手紙

いじめられている君へ

マムシの記憶

うちの子へ

作家になって十年

Ⅳ 特別収録 おじいちゃんと、おひさまのかおり

Ⅴ 自作解説(というほどではないけれど、思うことあれこれ)

ありがと、徳川

チャレメの記憶

「当たり前」を届ける仕事

藍色を照らす光

階段をのぼる時

不意打ちのタイムスリップ

タイトルの勇気

「大好きだけど、大っ嫌い」

Ⅵ 直木賞に決まって

夏の帰り道

豊かに、近く

雷の足止め

その子と、友達に戻った

十七歳のサイン会

 

あとがき

 

著者紹介

 

辻村深月(つじむら・みづき】

1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年に「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著作に「凍りのくじら」「ぼくのメジャースプーン」「スロウハイツの神様」「島はぼくらと」「家族シアター」(以上、講談社)、「盲目的な恋と友情」(新潮社)、「ハケンアニメ!」(マガジンハウス)、「朝が来る」(文藝春秋)、「きのうの影踏み」(KADOKAWA)など。「ツナグ」(新潮社)で第32回吉川英治文学新人賞、「鍵のない夢を見る」(文藝春秋)で第147回直木三十五賞を受賞。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。

 

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食堂かたつむりの料理&小説と映画の感想「食堂かたつむり」小川糸

ふるさとに戻り、メニューのない食堂をはじめた倫子。

お客は一日一組だけ。

そこでの出会いが、徐々にすべてを変えていく。

食堂かたつむり

食堂かたつむり

 

「食べる」ことは愛することであり、

愛されることであり、

つまり生きることなんだって

改めて教えられる素敵な物語でした。

――草野マサムネスピッツ

毎日口にするごはんに

こんな物語が詰まっているなんて

気がつかなかった。

これからは大きな声で

「いただきます」と言いたい。

――岡野昭仁(ポルノグラフティ)

 

 

 

 

内容

 

そこは食べると願いが叶うという、不思議な料理を出す食堂だった。

失ったもの:恋、家財道具一式、声

残ったもの:ぬか床

おいしくて、いとおしい、大切にしたい物語 

([お]5-1)食堂かたつむり (ポプラ文庫)

([お]5-1)食堂かたつむり (ポプラ文庫)

 

同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声も失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まった料理のない食堂だった。

 

感想 

 

前々から本のタイトルは知っていました。図書館でたまたま文庫本を発見して、あらすじを読むと面白そうなので借りることにしました。私はほのぼとした文体と料理が出てくる小説が好きなのです。

食堂というより多国籍レストラン

インテリアにこだわり開店の準備、季節の食材を集め、時間をかけて調理する姿や料理に合わせた飲み物を選ぶシーンは胸が高鳴りました。食堂というイメージから和食や庶民的な料理を出す飲食店なのかと思いきや、数々のレストランでアルバイトをした経験があるというだけあって、倫子が作る料理は私には馴染みのない多国籍メニューばかりです。食堂かたつむりの記念すべきオープンメニューは「ざくろカレー」。恥ずかしながら、ざくろは赤い果物で酸っぱそうということしか知識がなく、読み終わった後に「ざくろカレー」を検索してしまいした。知らない料理に出会うのは本の醍醐味です。「ざくろカレー」一体どんな味なんだろう?一度は食べてみたいです。

食事中(調理中)は下品な話をしないのがマナー。配慮にかけている描写もあるので、読んでいて不愉快な思いをする人もいるかもしれません。価値観によってはエルメスの話も受け付けないかもしれません。

期待し過ぎてしまったのか、この手の本を読みすぎてしまったのか。

料理は、自分以外の誰かが心を込めて作ってくれるから心と体の栄養になるのだ。という重要な部分にたどり着くまでに主人公の成長が感じられないのが残念でした。

友人を頼ることもなく、無一文になった途端に憎んでいる母親のへそくり目当てに実家へ駆け込みます。実家に居候し、物置小屋、開店資金を借りても母親の有難さもわからず、ケチだと言う甘ったれな主人公の倫子。家を出て10年、25歳の女性とはとても思えません。いつ成長するんだろうとまだかまだかと読み進め、最後の最後にやっと成長します。声が出なくなるほどの繊細な感情を持ち、食材達と言葉を交わせたり、お客様の望む料理を作るのは設定に無理があるのでは・・・。親娘という近い存在だから作者が意図的にそうしているとも考えられなくはないのですが、母親の突拍子もない恋愛展開も組み込まれていること点もあり、ありとあらゆる要素を考えもせずに取り入れてみた結果なのでは勘ぐってしまいます。母親との葛藤というのは女性が主人公の小説だとよくある内容です。私にも経験があり、心情がわかるだけに少々期待はずれでした。

映画化

2010年に柴咲コウ主演で映画化されています。

メルヘン感は強めに感じましたが、ほぼ小説のまま映像化されていると思います。

タイトルからどうしても比べてしまう「かもめ食堂」のおしゃれな雰囲気とは異なる作品です。

食堂かたつむり スタンダード・エディション [DVD]

食堂かたつむり スタンダード・エディション [DVD]

 

 

 

 

 

食堂かたつむりの料理 ※ネタバレ注意

 

エルメス

天然酵母のパンの中に何かしら森で見つけた木の実などを混ぜ込むようにして、エルメス好みのパンを作っている。

 

熊さん

ザクロをたくさん入れるので、きれいなルビー色をしていて、甘酸っぱい味で、食べるを顎の奥がきゅーんとなる。

 

お妾さん

料理で喜怒哀楽を表現したような、甘いものはきちんと甘く、辛いものはきちんと辛い、どちらかというとメリハリの効いた、刺激的な味の献立だった。お妾さんが、きっと今までに食べたことがないような味のご馳走ばかりだ。

 

桃ちゃん

  • ジュテームスープ

どんなに緊張して体を固くしていても、甘酸っぱさに胸焼けしていても、胃にスーッと入るように、スープを作ることにした。入れる食材は事前にあまり考えず、実際にふたりを見てから、インスピレーションで決めようと思っていた。

 

跡取りさん&先生

ふたりの料理の嗜好を考えると、結局私にはその方法しか思いつかなかった。それは、野菜だけを使ったフランス料理だ。肉や魚を使わないでフランス料理など作れるはずがない、と思われがちだけど、野菜自体に力があれば、野菜をメインにして献立を組むことができる。

 

保健所の衛生管理課

  • ワイワイ丼

ご飯の上にスパゲティーナポリタンを具としてかけた、祖母が考案したどんぶり飯

 

熊さんの知り合いの男

  • フルーツサンド
  • プサンスーチョン

フルーツサンドがとても儚げな味なので、メリハリをつける意味でもそのお茶がよかった。クリームが重たく感じられても、ラプサンスーチョンを飲めば口の中や喉をすっきりさせることができる。

 

梢ちゃん

  • ココア

ココアが温めるのを見計らい、最後にたっぷりのはちみつと、隠し味に最高級コニャックを数滴たらす、そして、五分だて程度に泡だてた生クリームを雲のようにそっと浮かべてから、その上に、新鮮なミントの葉っぱを一枚飾った。ミントには、精神を落ち着かせる作用があるから、今の梢ちゃんにはちょうどいい。

 

 六人家族

  • お子様ランチ
  • バースデーケーキ

私は、ガスレンジの火をフルに使い、ハンバーグとチキンライスとエビフライとかぼちゃのソテーを、ほぼ同時進行で調理した。

 

ウサギ

  • ビスケット

はこね上がったビスケットの生地を天板の上に薄く広げ、生地の上から乾燥させてあるラベンダーの花を飾りつけた。ラベンダーには、気分が落ち込んだ時にそれを緩和する作用がある。

 

ネオコン

  • お茶漬け

この鰹節さえあれば、なんとか上等なダシが取れるだろう。ダシ汁とご飯で、シンプルなお茶漬けを作ろう。

 

おかん

  • 披露宴の料理
  • ウエディングケーキ
  • アカシアのお茶
  • 引き出物 えくぼ饅頭

色々な土地の料理を食べることで、旅行気分を味わってもらいたいと願っていた。

 

  • 野鳥のロースト
  • 赤ワイン

たとえちっぽけな幸福でも、食べた後、幸せになる料理を。これからもずっと。作り続けていこう。

 

(番外編) 同性愛の男性カップ

  • ホットチョコレート
  • シードル
  • ジュテームスープ
  • ベーコンと里芋とブロッコリーのショートパスタ
  • 赤カブのバーニャカウダソース イノシシ肉添え
  • チョコレートティ
  • ウエディングケーキ 
  • おでん 

ボクは、食べ物を食べて欲情するということを、この時初めて知った。彼女の作ってくれた料理は、一言でいうとすごく官能的だった。

 未読ですが「食堂かたつむりの料理」という本があるようです。

食堂かたつむりの料理

食堂かたつむりの料理

 

 

 

目次

 

食堂かたつむり

番外編 チョコムーン 

 

著者紹介

 

【小川糸(おがわ・いと)】

1973年生まれ。著書に小説「食堂かたつむり」「つるかめ助産院」など。「ツバキ文具店」は2017年本屋大賞第4位。2017年4月にNHKラジオ第1「新日曜名作座」にてラジオドラマ化、NHK総合「ドラマ10」にて『ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜』と題し、多部未華子主演でテレビドラマ化。 

 

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2016年本屋大賞ノミネート、ドラマ化!子を産めない者、子を手放した者、女性の葛藤と人生を描いた感動長編小説「朝が来る」辻村深月

 

号泣必須。

直木賞作家の到達した圧倒的な境地!

2016年 本屋大賞ノミネート!

朝が来る (文春e-book)

朝が来る (文春e-book)

 

本当の意味の「親」とはなにかを教えてくれる傑作です。

 

 

内容

 

「子どもを返してほしいんです」

親子三人で暮らす栗原家にある朝かかってきた一本の電話。

電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、

確かに息子の産みの母の名だった。

朝が来る

朝が来る

 

不妊治療との長く辛い闘いの末に栗原夫妻が選んだ道は、特別養子縁組だった。五年後、朝斗と名付けた男の子と家族三人の穏やかな日常の幸せを噛みしめるように暮らす栗原家。朝斗が幼稚園に行っている日中、栗原家を「片倉ひかり」と名乗る若い痩せすぎの女性が訪ねてくる。片倉ひかりは朝斗の産みの母親の名前だ。だが、夫婦の記憶にある彼女の面影は、眼下の女性にはない。時をおいて、栗原家に刑事がやってくる。栗原家を訪ねると言ったまま「片倉ひかり」という女性が姿を消したのだというーーー

 

感想

 

子どもが親を探す

第一章は幼稚園に通う朝斗を育てる佐都子について書かれています。子ども同士のケンカ、ママ友、幼稚園の先生、近所付き合い・・・これから母になる私もそういった人間関係で悩んだり、苦労することがあるのかなと想像しつつ読みました。朝斗への接し方、朝斗の感情を察する文章は作者の辻村深月さんの母親としての目線が活かされていると思いました。

第二章は佐都子夫婦のもとに朝斗がやってくるまでの苦悩が書かれています。

 子どもはいてもいなくてもいい。夫婦二人だけでいい、と思っていたはずだった。

 けれど、どちらでもよかったはずの可能性は、最初から閉ざされていたのだとわかると、わかってしまったことで、佐都子たちの胸を強く締め付けた。このままでは、その未来は確実にないのだ。

[第二章 長いトンネル] 

私たち夫婦も結婚当初の佐都子と同じ気持ちでした。妊活をするまでもない、夫婦二人でもいい。そして心の隅にいずれ子どもは出来るだろうという考えがありました。だから、子どもを作らないという選択ではなく、子どもが出来ないという選択しかないのは胸が締め付けられました。

普通の子は普通の家にいる

「普通の子は普通の家にいる」第二章で印象的だった文が第三章に繋がっているように私は思いました。第三章は産みの親であるひかりの物語です。普通の家に育ち、普通の中学生のひかりが妊娠し、出産。その後どうなっていくか・・・。

何も妊娠したひかりは特別、特殊な女の子ではありません。ひかりの感情、行動は私も中学生の頃に覚えがあります。気まずい話題は会話に出したくない、自分の子は言わなくてもわかるという両親の気持ちもわからなくもない。ひかりの両親は一方的に話すだけで、ひかりの話に聞く耳も持ちません。ひかりは本来頼れるはずの両親に助けを求めることが出来ず、第四章へ進みます。

朝は来る

第一章での謎が第四章で解かれていきます。

私は、あの子と一緒に海を見た。

おなかの中で、あの子を育てた。

ちびたん、と呼んだ。

守るように手を置いて、一緒に歩いた。産院からの帰り道、「もうすぐだよ。がんばろう」と無邪気に、声をかけて。

[第四章 朝が来る]

 今、私がお腹にいる赤ちゃんにしていることと同じようなことをひかりもしているのです。読み終わってから数日経ってからブログに感想を書いているのにこの文章をタイピングするだけで泣きそうです。

産みの親、育ての親どちらの母親にも感情移入した作品でした。

 

目次

 

第一章 平穏と不穏

第二章 長いトンネル

第三章 発表会の帰り道

第四章 朝が来る

 

著者紹介

 

辻村深月(つじむら・みづき】

1980年山梨県生まれ。2004年「冷たい校舎の時は止まる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。11年「ツナグ」で吉川英治文学新人賞、12年「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞。著書に「水底フェスタ」「オーダーメイド殺人クラブ」「島はぼくらと」「盲目的な恋と友情」「ハケンアニメ!」などがある。

 

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