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学園祭で自殺したクラスメイトは誰?「冷たい校舎の時は止まる」辻村深月




 

 

 

「冷たい校舎の時は止まる」辻村深月

 

事件が起こり、犯人を推理する小説ではなく、人間が人間の中に閉じ込める精神世界のミステリーです。精神世界であることを考慮し、自殺したクラスメート、そして8人を閉じ込めた人物・ホストを推理していきます。

閉じ込められた8人それぞれの内面も掘り下げて描かれています。10代の抱える不安と悩みは利己的です。自分が直接関わる家族、友人に対しては心配するし、大切にしようとしますが、単にクラスメイトという存在の人には注意を向けようとはしません。他人からすると“そんなこと”でも、本人には“そんなこと”では済まされないのです。

第31回メフィスト賞 

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

 

 

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

 

 

あらすじ

雪の日に校舎に閉じ込められたクラス委員の男女8人の高校生。二ヶ月前に学園祭で自殺したクラスメイトの名前、顔、性別も思い出すことが誰一人出来ないことに気が付く。8人を閉じ込め、あの日屋上から飛び降りたのは誰?

目次

フラッシュバック

第一章  「初雪」

第二章  「きっかけの日」

第三章  「女友達」

第四章  「事件当日」

第五章  「おばけなんてないさ」

第六章  「明るい絶望」

第七章  「消えた一人」

第八章  「ガラスの森」

第九章  「暗闇から手をのばせ」

第十章  「不幸自慢」

第十一章 「CRAZY FOR YOU」

第十二章 「スカーレット」

第十三章 「あたしはここよ」

第十四章 「HERO」

第十五章 「カウントダウン」

第十六章 「解決編」

第十七章 「冷たい校舎の時は止まる」

第十八章 「雪の終わり」

第十九章 「ひとつだけ」

エピローグ

登場人物

辻村 深月(つじむら みづき)

クラスメートの角田春子からいじめを受け、拒食症に陥っていたこともある。

鷹野とは幼馴染。

鷹野 博嗣(たかの ひろし)

入学金免除のB級特待生で、T大法学部志望。

榊とは従兄弟。

菅原(すがわら)

停学明けに事件に巻き込まれる。

片耳にピアスを付け、髪が黄色く、煙草を吸う。

桐野 景子(きりの けいこ)

生徒会の副委員長。両親は医者で、自身も医学部志望。

梨香とは幼馴染。

清水 あやめ(しみず あやめ)

入学金・授業料免除のA級特待生。

美術部に所属。

佐伯 梨香(さえき りか)

入学当初の荒れていた頃に榊に助けられことがキッカケで榊を好きになる。

妹が二人いる。

藤本 明彦(ふじもと あきひこ)

中学時代に友人が自殺したことがあり、深月の異変に真っ先に気が付いた。

級友の自殺に責任を感じている。

片瀬 充(かたせ みつる)

梨香に恋心を寄せている。

寂しさでたまらに女の子たちを引き寄せてしまう。

榊(さかき)

担任教師。茶髪にピアスと教師らしくない身なり。

生徒たちからの信頼は厚い。

角田 春子(つのだ はるこ)

深月を疎ましく感じ、いじめるようになる。

諏訪 裕二(すわ ゆうじ)

やり手の生徒会長。鷹野と仲が良い。

 

 

 

バラメータ

恋愛度   ★★☆☆☆ 星2つ

自信に満ち溢れているように見える裕二ですら不安になるのが恋です。

第十三章 「あたしはここよ」

「今年に入って、けいちゃんと鷹野が同じクラスになった。その時の俺の気持ちを言おうか? 一年の時に学級委員で組んでから、ずっと俺は鷹野を高く買っている。鷹野にけいちゃんを取られたらどうしよう、けいちゃんが鷹野に惚れたらどうしよう。毎日そんなことばかり考えた。馬鹿なことだと笑いたいなら笑ったらいい。でも俺は怖かったよ。・・・・・頼むからその俺を堂々をしてるなんて言うな」

友情度   ★★☆☆☆ 星2つ

友人だからこそ、身近な存在だからこそ比べてしまうことが10代の頃には私にもありました。

第三章  「女友達」

深月が悪いわけではない、でも自分が悪いわけでもない。けれど、深月と自分を比べてしまう。笑っている深月を見ていることがどんどん耐えがたくなってくる。

家族度   ★★☆☆☆ 星2つ

自分の家庭を不幸だと友人に思われるのはとても辛いことのような気がします。

第十章  「不幸自慢」

それでも梨香はそのことを不幸なことだなんて思っちゃいない。あの子にとってそれはあくまで『普通』の『日常』だ」

イケメン度 ★★☆☆☆ 星2つ

鷹野はイケメンと言われる榊に似、成績も優秀です。

たかが学校行事かもしれない。しかし、学校という小さな社会でのちょっとしたミスが今後の学校生活に大きな影響を与えることを知っている鷹野は無意識に清水を庇うことが出来ます。私が清水の立場なら鷹野に惚れていると思います。

第八章  「ガラスの森」

鷹野は初めから、門倉相手に勝てるとは思っていなかった。しかし自分が二位に甘んじてしまった場合、責任を問われるのは誰だろうか。アンカーを走った鷹野?いや違う。鷹野にバトンを繋ぐまでの間、本当なら二組は一位だったはずなのだ。転んでしまった清水に責任があることはあまりに明らかだった。

だから、後輩に手を振ったのだ。 

オシャレ度 ☆☆☆☆☆ 星0つ 
グルメ度  ☆☆☆☆☆ 星0つ

感想 ※ネタバレ含む

「冷たい校舎の時は止まる」は作者と同じ名前の人物が登場する手法を取り入れています。これが最も重要な伏線だと思います。

その時のその人物の精神世界というのは、全て本人の主観によって成り立った本人の望みや願いが反映された世界で、その本人にとってはとても居心地のいい、自分のことを決して傷つけられない場所なんだって。自分の世界の中で、その人は完全な神になれる。それに逆らって、誰かが外に出ようとすれば、そこに相当なストレスと歪みが生じる。

関連作品

長編小説が読むのが苦手な方には漫画を読む手もあります。

「四月は君の嘘」を書いている漫画家・新川直司さん。