【インタビュー】なぜ、村上春樹中毒になるのか『みみずくは黄昏に飛びたつ』村上春樹/川上未映子

なぜ、村上春樹中毒になるのか

改めて『職業としての小説家』を読み直して、ふつふつと村上春樹の文章が読みたい欲求が湧き上がってきた。デビュー作の『風の歌を聴け」から小説を読み進め、エッセイ、対談集にも手を伸ばしている。そして、本書『みみずくは黄昏に飛びたつ』を読んで、どうして私が飽きることなく、夢中になって村上春樹の本を読み続けているのか、作者本人から教えてもらって、やっとわかった。まんまと作者の意図にはまっていたのだ。

例えば、好き嫌いはあるけれど、村上春樹独特の文体。その文体を私を含めたくさんの人々が中毒になっている。小説にしても、エッセイにしても、どの文章を読んでも“村上春樹らしさ”が必ずある。プロの物書きはたくさんいるけれど、どの文章を読んでもその人らしさがある人は僅かしかいない。それは天性の物書きとしての感覚、読者を飽きさせない技術、毎日コツコツと書き続ける姿勢などが文体に散りばめられているから。それらのこだわりを本書では深く熱く語られている。『騎士団長殺し』が少しガッカリしたと感想を書いたけど、数年後に読み直しちゃうだろうし、新作も絶対買って読む。それはもう依存症に陥ってしまたのだから仕方がないと納得した。

よくぞ質問してくれた!

川上未映子さんは村上春樹作品を読み込み、尊敬していることがインタビュー内容からも感じてくる。村上さんがだんだん打ち解けていき、最初は「あなた」と呼んでるが「川上さん」と名前で呼ぶようになるところなど、長時間インタビューが何度かする度に親密度が上がっている。そして、後半のインタビューになると「俺もこんな世界的な作家になったわー」みたいに考えたり、自作を読み返して「やっぱり俺うまいわ、やばいわ」とか思いませんか?というような質問を川上さんがとてもフランクに訊く。うわー!よくぞ質問してくれた!と興奮した。そんなこと絶対自分で書かないだろうし、対談だから、川上さんだから聞き出せたことでもあると思う。

みみずくは黄昏に飛びたつ

みみずくは黄昏に飛びたつ

 

内容紹介

ただのインタビューではあらない。

騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、 そして死後のこと……。

誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字におよぶ、「作家✕作家」の金字塔的インタビュー。

芥川賞作家にして、少女時代からの熱心な愛読者が、村上春樹のすべてを訊き尽くす。

騎士団長とイデアの関係は?

比喩はどうやって思いつく?

新作が何十万人に読まれる気分は?

見返したい批評家はいる?

誰もが知りたくて訊けなかったこと、その意外な素顔を、鮮烈な言葉で引き出す。

目次

はじめに 川上未映子

第一章 優れたパーカショニストは、一番大事な音を叩かない

第二章 地下二階で起きていること

第三章 眠れない夜は、太った郵便配達人と同じくらい珍しい

第四章 たとえ紙がなくなっても、人は語り継ぐ

インタビューを終えて 村上春樹

お気に入り度 星3つ ★★★

 『騎士団長殺し』と『職業としての小説家』を読んだ後に本書『みみずくは黄昏に飛びたつ』を読むのがオススメ。俄然、その後に『翻訳(ほとんど)全仕事』を読みたくなる!

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

 

 

 

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【経済は、考えるより「感じる」ことが大事!】コンビニがコーヒーで成功して、ドーナツがダメな理由『感じる経済学』加谷珪一

経済はこんなにも身近だったのか

今までいくつか初心者向けの経済学本を読んだけれど、より身近に感じることが出来たのが本書。いつの間にかコンビニコーヒーを飲むのが当たり前になった訳とか、牛丼店の事情だとか、一般人が普通に生活していてよく利用する企業のことを話題にしてるからすんなり読める。最近のセブンイレブンは朝にコーヒーとパンやサンドイッチとセット販売作戦という流れだな・・・という風に自然と自分なりに考えが発展していくから読んでいて楽しかった。

経済が面白いと思い始めたところで、日本が抱えている問題の章へと進んでいく。いかに自分が表面上にしか問題を考えていなかったを痛感した。例えば、携帯電話料金が高い!労働時間が長い!安くすればいいのか、短くすれば解決するということではない。自分一人ではどうにも出来ないと諦めていたことが、自分一人の行動が原動力になることも知った。物心がついたときから不景気で、節約することが染み付いているから、景気が良いことを経験してみたい。

内容紹介

経済は、頭で考えることも大事ですが、何よりも「感じる」ことが大事。 どの商品がよいのか、どこのサービスがよいのか、自分自身がしっかり感じ、選択することは、立派な経済活動であり、それが数字や指標になったものが経済学なのです。

目次

1章 まずは現実の経済を感じてみる

コンビニコーヒーがうまくいってドーナッツがダメな理由

牛丼店がちょい飲みに力を入れる理由

1人カラオケの普及は何をもたらした?

日本の携帯料金は高い?

経済の原動力は人の気持ち

2章 「感じた」結果を掘り下げてみる

「消費」と「投資」の違い、ひと言で言える?

GDPって何なのか知ってますか?

GDPを知るとお金の回り方が見えてくる

経済の主役は誰だ?

経済政策とは無限のパズルから最適の解を探し出すこと

モノの値段は何で決まるのか?

経済が成長する仕組みは?

国が発展するプロセスはどうなってるの?

経済は成長しなくてもよいの?

3章 経済を「感じる」ための基礎知識

なぜ日本で長時間労働がなくならないのか?

残業を減らすと経済が拡大するメカニズム

たくさん稼ぐにはどうすればよい?

賃上げで消費は増やせるか?

ビジネスを活性化させれば消費は増える?

傍観者になってはいけない

4章 「感じた」後に行動するのはあなた自身

転職が活発になればサビ残はなくなる

好きなことを仕事にする

感謝とお礼をする

資本主義は「心」から始まった

お気に入り度 星3つ ★★★

ちょっとした経済の気付きを感じられるとようになる!

 

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【ANA機内誌】これが悪人の素顔です!作家の旅行を垣間見るエッセイ『作家と一日』吉田修一

機内誌を読むことは飛行機に乗る楽しみの一つ。特に贔屓をしているわけではないけれど、私はJALに乗ることがわりかし多い。多いと言っても、年にほんの数回しか飛行機は乗らないのだけれど。なので、ANAに連載されているものを読むのは新鮮だった。

ダンディな男性に見つめられて

表紙の男性にジッと見つめられ、「おい、手に取れよ」って呼び止められたような気がした。吉田修一って誰だったけ?疑問を抱きながらパラパラとページを捲り、『悪人』『横道世之介』『怒り』『さよなら渓谷』の作者だと知った。映画は観たことがある作品ばかりなのに原作である小説は読んだことがない。ならば、小説から読めばいいのだが、縁を感じた本書を手始めに読むことにした。

旅行の醍醐味とは

普段いくら仲がよくても旅行になると関係がギクシャクしてしまうことがある。それは共に生活をする家族であっても起こりえるから不思議だ。その度に気を病んだり、イライラしたりする。いい大人だから感情を表に出すことは控えているが、旅行を心の底から楽しめていない気がしてモヤモヤする。

言葉や習慣の違う場所では、とかく誤解が生じやすい。しかしどんな場合にも罵声よりユーモアを大切にできる仲間となら多少の問題も乗り越えられる。(ポルトガルのビーチでパトカーに乗る)

旅行が思い通りにいくことはない、それが旅行の醍醐味でもある。相手との合わない部分を知ることも旅行を一緒にしたから知ったのであって、それこそユーモアに捉えたい。と思うと、次の旅行が楽しみになった。

作家と一日 (翼の王国books)

作家と一日 (翼の王国books)

 

 内容紹介

ポルトガルのビーチでパトカーに乗り、新宿ゴールデン街でへヴィメタバンドと意気投合し、仕事場で猫と戯れる…… これが『悪人』の素顔です。

『悪人』『横道世之介』『怒り』『さよなら渓谷』など、ジャンルにとらわれずに次々と話題作を発表し続ける人気作家・吉田修一

旅先で感じるふとしたこと、切り取った風景、出会った誰かとの大切なひととき、毎日の暮らしの中で起きるちょっとした奇跡と、心の揺らぎ......。

作家・吉田修一が、些細だけれど大切な“一日"を綴ります。

目次 

風邪を引いた猿

草食男子はブルーベリー狩りへ

深夜の友情

月夜のダイニング

外国の友人が教えてくれる日本の名所

ポルトガルのビーチでパトカーに乗る

各国のバラエティ番組

パリで伊集院静を真似る

旅行が上手い人

成田空港リムジンバスのスタッフさんへ

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

ドン・ペリニヨン三昧

フィンランドといえば、湖とヘヴィメタ?

世界遺産の島と、じゃない島

いい風を知っていますねぇ

別府でタイ古式マッサージに開眼

内蒙古でホーミー

豆乳、揚げパン、牛肉麺

日本酒が似合う声

舞台裏の俳優

雪のわすれもの

三朝の湯で願う

時間を舐める

人の背中

お気に入り度 星2つ ★★☆

自分の旅と重ね、また旅をしたくなる。旅した気分。

 

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【自伝的エッセイ】生き方を模索している人へのヒント!自分で進むべき道を選び、歩んでいく『職業としての小説家』村上春樹

村上春樹は何を隠そう私が一番好きな小説家である

仲の良い友人が村上春樹のファンだった。その友人に奨められて中学生の時に初めて『ノルウェイの森』を読んだ。何だかとっても厭らしいと思った。主にヤングアダルト本しか読んだことがない私には大人の本だったのだ。そこから自ら村上春樹の小説を読むことはなかったが、友人の家には彼の本がたくさんあり、いつも身近には感じていた。

20歳の時、ひょんなことから『走ることについて語るときに僕の語ること』を手に取った。そして、今ではほとんど全ての小説とエッセイを自宅に揃えるほどになった。そう、私が一番好きな小説家は村上春樹で、キッカケは小説ではなくエッセイなのである。

人を惹きつける小説、生き方

小説を書くことへの情熱が最初の1ページからひしひしと感じる。こんなにも小説を書くことが好きで、人生をかけている。時代や地位が変わっても、小説家としてのポリシー、日本人作家としての役目、ライフスタイル、もちろん小説の世界観は揺るがない。そういう一貫したところに読者は魅力を感じているのではないだろうか。少なくとも私はそうだ。主人公は作者本人とは似ていないというが、人を惹きつける部分があるという点では似ていると思う。『職業としての小説家』は好きなことに真っ直ぐに向き合う、誰しもが憧れる生き方を確立するためのヒントが書かれている。

職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)

 

内容紹介

誰のために書くのか、

どのように書くのか、

そしてなぜ小説を

書き続けるのか、

小説を書くための

強い心とは。

いま、世界が渇望する稀有な作家――

村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。

自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊!

「MONKEY」大好評連載の<村上春樹私的講演録>に、 大幅な書き下ろ

し150枚を加え、 読書界待望の渾身の一冊、ついに発刊!

目次

第一回 小説家は寛容な人種なのか

第二回 小説家になった頃

第三回 文学賞について

第四回 オリジナリティーについて

第五回 さて、何を書けばいいのか?

第六回 時間を味方につける――長編小説を書くこと

第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み

第八回 学校について

第九回 どんな人物を登場させようか?

第十回 誰のために書くのか?

第十一回 海外へ出て行く。新しいフロンティア

第十二回 物語があるところ・河合隼雄先生の思い出

お気に入り度 星3つ ★★★

生き方に迷った時に読み直したい一冊

 

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【映画】『人生が変わる哲学の教室』で紹介されていた映画をまとめてみた

知る喜び

『人生が変わる哲学の教室』では、著名な哲学者の考え方を関連した映画も紹介しながら、学生から私のような主婦までわかりやすいように書かれている。

幸せになる方法の一つに「知る喜び」とアラン先生があげている。誰にでも容易に享受することができ、しかも尽きることのないもの。誰もが知る喜びを幸せの基準にすることができたとき、世界は幸福に満たされるはず。

知らなかった映画、興味のなかった映画も紹介されると俄然観たくなる。観たことのある映画もテーマを念頭に置きながら、観るとより一層楽しめそう。 映画、読書は「知る喜び」を大いに満たしてくれますね。

人生が変わる哲学の教室 (中経の文庫)
 

生きることと死ぬこと

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

自分だけが243年間も生きているという人物が主人公。

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 [DVD]

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最高の人生の見つけ方

余命宣告を受けた主人公が、単に消極的に死を待つだけでなく、やりたいことを全部やっていくストーリー。

最高の人生の見つけ方 [DVD]

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死ぬまでにしたい10のこと

余命宣告された若い母親が、死ぬまでにやりたいことをメモして、それを実現していく物語。

死ぬまでにしたい10のこと [DVD]

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『理想の結婚』

理想の結婚が実現したとき、現実が訪れる。理想と現実、そのはざまで苦悩する。

理想の結婚 [DVD]

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理性と欲望

ヒューマンネイチュア

自分を猿だと思っている男が人間になるために「迷ったら欲求に従わないこと!」とアドバイスを受ける。

悩み

『カンナさん大成功です!』

ずば抜けて歌の上手なカンナは、外見が醜いために、舞台裏で口パク歌手の影武者をしていました。ところが、失恋をきっかけに全身を整形することで自信を取り戻し、成功する。

カンナさん大成功です! [DVD]

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自分と他人

モディリアーニ 真実の愛』

あの偉大なピカソにとってもモディリアーニというライバルの存在がいかに重要だったかよくわかる。タイプの違う二人はいがみ合い、お互いを嫌っていたが、心の底では尊敬していた。

モディリアーニ 真実の愛 [DVD]

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 仕事

『月曜日に乾杯』

毎日工場でのルーティンワークの繰り返し、家族にもそっけなくされ、陰うつな日々を送る中年男性。彼は誰にとっても一番憂うつなある月曜の朝、思いきって旅に出る。そして、リフレッシュして戻ってくる。

月曜日に乾杯! [DVD]

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恋愛

『人生は、時々晴れ』

 決して裕福とはいえない三つの家族を描いた物語。タクシー運転手の主人公は、家族関係に問題を抱えながら、こうつぶやく「人間は孤独だ。人間は独りで生まれ、独りで死んでいく」と。そしてその後、主人公は家族の絆を取り戻し、勇気づいていく。

人生は、時々晴れ [DVD]

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マリと子犬の物語

 家族の距離について考えさせられる映画。新潟県山古志村を襲った大地震を扱ったもの。ある家族の絆が飼い犬たちとの絆とパラレルに、そして時にクロスオーバーして描かれる感動の物語。

マリと子犬の物語 スタンダード・エディション [DVD]

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 幸せ

ここに幸あり

 大臣をクビになった男が、無職になって平凡な日常に戻り、その中に本当の幸せを見出すストーリー。

ここに幸あり [DVD]

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『しあわせ』

原題は『偶然と必然』。婚約者と最愛の息子を事故で失った主人公の女性は、失意の中、息子の夢だった世界旅行を続けます。そして「不幸が大きいほど生命力が湧く」と説き、生きる勇気を与えてくれる人物と必然的に出会う。

しあわせ [DVD]

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 権力

シンドラーのリスト

 銃殺し、恐怖を与えることでアウシュビッツ強制収容所の人々管理しようとするアーモンという男に対して、シンドラーがそれをやめさせるため、「王になれ」と呼びかける。王の真の権力とは、「赦すこと」だと諭す。

シンドラーのリスト スペシャル・エディション [DVD]
 

 『天安門、恋人たち』

 権力の中で翻弄される若者たちの青春。彼らを揺さぶる権力の姿が常に見え隠れする。

天安門、恋人たち [DVD]

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自由

『この自由な世界で』

 移民たちは家族を養うために、法の手の届かないところでしか仕事を得られない。だから仕事を斡旋し、与えるほうも法のないところで自由にやる、自由の世界。

この自由な世界で [DVD]

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 人生

『2001年宇宙の旅』

 「神は死んだ」キリスト教に頼るのはもうやめよう。謎の物体に力を得た猿が道具を使えるようになって、他の生物から抜きん出るようになったり、木星への極秘使命を与えられた乗務員たちが、コンピューター制御装置の反逆に遭ったり。生き残った船長がその謎の物体に遭遇して、人類を超越した存在になる。

2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

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