村上春樹は何を隠そう私が一番好きな小説家である
仲の良い友人が村上春樹のファンだった。その友人に奨められて中学生の時に初めて『ノルウェイの森』を読んだ。何だかとっても厭らしいと思った。主にヤングアダルト本しか読んだことがない私には大人の本だったのだ。そこから自ら村上春樹の小説を読むことはなかったが、友人の家には彼の本がたくさんあり、いつも身近には感じていた。
20歳の時、ひょんなことから『走ることについて語るときに僕の語ること』を手に取った。そして、今ではほとんど全ての小説とエッセイを自宅に揃えるほどになった。そう、私が一番好きな小説家は村上春樹で、キッカケは小説ではなくエッセイなのである。
人を惹きつける小説、生き方
小説を書くことへの情熱が最初の1ページからひしひしと感じる。こんなにも小説を書くことが好きで、人生をかけている。時代や地位が変わっても、小説家としてのポリシー、日本人作家としての役目、ライフスタイル、もちろん小説の世界観は揺るがない。そういう一貫したところに読者は魅力を感じているのではないだろうか。少なくとも私はそうだ。主人公は作者本人とは似ていないというが、人を惹きつける部分があるという点では似ていると思う。『職業としての小説家』は好きなことに真っ直ぐに向き合う、誰しもが憧れる生き方を確立するためのヒントが書かれている。
内容紹介
誰のために書くのか、
どのように書くのか、
そしてなぜ小説を
書き続けるのか、
小説を書くための
強い心とは。
いま、世界が渇望する稀有な作家――
村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。
自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊!
「MONKEY」大好評連載の<村上春樹私的講演録>に、 大幅な書き下ろ
し150枚を加え、 読書界待望の渾身の一冊、ついに発刊!
目次
第一回 小説家は寛容な人種なのか
第二回 小説家になった頃
第三回 文学賞について
第四回 オリジナリティーについて
第五回 さて、何を書けばいいのか?
第六回 時間を味方につける――長編小説を書くこと
第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み
第八回 学校について
第九回 どんな人物を登場させようか?
第十回 誰のために書くのか?
第十一回 海外へ出て行く。新しいフロンティア
第十二回 物語があるところ・河合隼雄先生の思い出
お気に入り度 星3つ ★★★
生き方に迷った時に読み直したい一冊