優等生と落ちこぼれの恋愛小説「ふたつのしるし」宮下奈都

この人は何も知らない。遥名も何も知らない。それが決めてだった。

傷んだ心にやさしい雨のように降り注ぐ、傑作恋愛小説。

欠けていたものが、ぴたりとはまる。そんな風にしてふたりは出会った。

ふたつのしるし (幻冬舎文庫)

ふたつのしるし (幻冬舎文庫)

 

息をひそめるように過ごす“優等生”遥名と周囲を困らせてばかりの“落ちこぼれ”ハル。

生きることに不器用なふたりがやがて成長し・・・。

 

内容

 

「しるし」を見つけたふたりの希望の物語

私にはまだ“その時”が来ていないだけ

ふたつのしるし

ふたつのしるし

 

美しい顔を眼鏡で隠し、田舎町で息をひそめるように生きる優等生の遥名。

早くに母を亡くし周囲に貶されてばかりの落ちこぼれの温之。

遠く離れた場所で所在なく日々を過ごしてきた二人の〝ハル〟が、あの3月11日、東京で出会った――。

何度もすれ違った二人を結びつけた「しるし」とは? 

出会うべき人と出会う奇跡を描いた、心ふるえる愛の物語。

 

感想

 

遥名とハルは私とは正反対のような性格の人だと思いました。

迷惑をかけるなというのは人のためじゃなかった。自分の身を守るための教えだった。

迷惑をかけない、列を乱さないというのが物心ついた頃から染み付いていて、クラスに一人はいるハルのような存在が不思議でした。どうして先生の言っていることが理解出来ないんだろう?と。

ああいうふうに「お願い」をして、いろんなことを通してきたのかもしれない。遥名は感心する。それに比べ、自分はなんと泥くさいことをしてきたのだろう。いつも、ただ地道に歩いてきた。何かを上手に避けたり、ぽんと跳び越したりする人が素直にうらやましたかった。

何でも人より上手く出来るのに不器用な遥名は妹に似ています。私は上手く出来ない分、ずる賢いことをいち早く覚えていてので、妹の不器用さにイライラすることもありました。優秀なのに勿体ない、もっと甘えたり、頼ることを身に付ければ物事がもっとスムーズにいくのに・・・と。

好きな感じの流れでしたが、二人の出会いとその後の展開が私はすんなり受け入れることが出来なくて、後半は少しガッカリしてしまいました。

 

 

目次

 

第1話 1991年 5月

第2話 1997年 9月

第3話 2003年 5月

第4話 2009年 7月

第5話 2011年 3月

第6話

 

著者紹介

 

【宮下 奈都(みたした・なつ)】

1967年福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。

2004年「静かな雨」が文學界新人賞佳作に入選。07年、初の単行本「スコーレNo.4」が、書店員からの熱烈な支持を得て話題となる。著書に「遠くの声に耳を澄ませて」「太陽のパスタ、豆のスープ」「田舎の紳士服店のモデル妻」「誰かが足りない」「窓の向こうのガーシュウィン」「終わらない歌」などがある。

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