廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。
少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。
この「さよなら」は、きっと世界の扉を開く
内容
今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。
廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望―。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
感想
自分の高校時代と比べて読む
私自身、高校卒業に特別な思い出がありません。クラスメイトが涙ぐむ姿も見ませんでしたし、先生の感動的なスピーチもありませんでした。別れを惜しむこともなく、さっさと皆が帰っていたことに驚いたことは覚えています。決して仲が悪かったわけではありません。高校3年間クラス替えがない学科だったので、寧ろ他のクラスより仲が良かったと思います。今でもクラスLINEを作って近況報告をし合っていますし。上京するメンバーはいなかったし、その気になればみんないつでも会えるという気持ちがあったからだと思います。そのせいでしょうか。「少女は卒業しない」のいかにもキラキラした青春という内容が羨ましく、嘘っぽく思えてしまうのです。先生への秘めた想い、生徒会、部活、友情、恋愛・・・高校時代に後悔はないのに、なぜだか嫉妬してしまう内容です。
人によって想いの異なる恋心
著者である朝井リョウは男性ですが、どの短編も女性が主人公です。女子高生に恋愛は外せません。どの女子高生の心情が一緒くたではなく、きちんと違うのが気に入りました。女性が書いたの?と思わせるくらい女心がリアルです。
私が隠しておきたかったもの。氷川さんがみんなに知ってほしかったもの。
[四拍子をもう一度]
好きになった人への想いって人によって違うんだなぁーって当たり前のことを感じてしまいました。私はどっちだろう?自分だけ知っておきたい部分もあるし、みんなに知って欲しいという部分もあります。欲張りです。
少女は卒業する
「少女は卒業しない」惹き込まれる印象的な本のタイトルです。少女たちはたんに高校から卒業するだけではない、もっと何か大事なものから卒業しなくてはなりません。全てを卒業式を境にスパッと卒業することは不可能です。少女たちの選んだ卒業の仕方が好きです。
目次
エンドロールが始まる
屋上は青
在校生代表
寺田の足の甲はキャベツ
四拍子をもう一度
ふたりの背景
夜明けの中心