直木賞史上初の平成生まれ受賞作家の初エッセイ「時をかけるゆとり」朝井リョウ

時をかけるゆとり (文春文庫)

時をかけるゆとり (文春文庫)

 

 圧倒的に無意味な読書体験

ダ・ヴィンチ」BOOK OF THE YEAR 2015(エッセイ・ノンフィクションランキング)1位

 

内容

 

便意に司られる日々、職業を偽り続けた美容院、バスローブ姿で歩いた100キロの道程、母のケアレスミス、眼科医と築き上げた犬猿の仲、何故か自転車で行った京都・・・・

ゆとり世代の切なさ、おかしみ、全部。

時をかけるゆとり (文春文庫)

時をかけるゆとり (文春文庫)

 

就職活動生の群像「何者」で戦後最年少の直木賞受賞者となった著者・朝井リョウ。初エッセイ集では天与の観察眼を縦横無尽に駆使し、上京の日々、バイト、夏休み、就活そして社会人生活について綴る。「ゆとり世代」が「ゆとり世代」を見た、切なさとおかしみが炸裂する23編。「学生時代にやらなくてもいい20のこと」改題。

 

感想 

 

同じゆとり世代として同感しながら読みました。上の年代は懐かしく思いながら読めるのではないでしょうか。

私は大学には進学していないので、友人から聞き、本や映画から得たものを合わせてイメージするしかないのですが、朝井リョウの大学生活は私の想像通りでした。ゆとり世代だからではなく、バカなこと、下らないことが面白く感じるのは若さゆえです(と思いたい)。誰にでも1つや2つバカな思い出があるはず。旅行を失敗する(その2)はバカというより常識が無さ過ぎて若干ひきましたが。

著者本人のキャラクターがわかるエッセイでした。文章がツイッター、ブログっぽいところはゆとり世代のエッセイという感じでしょうか。直木賞作家のエッセイというより、書くのが上手いゆとりのエッセイ感を強く感じました。(この内容ならはてなブログの大学生や若い男性が書いているブログの方が面白いのでは・・・と思ってしまった)編集の人からちょいちょいイベント参加命令が発令しているようではありますが、私は何気ない日常のエッセイが読みたいです。イベントがなくても面白く読ませる技術はあると思うので、期待しています。

 

 

著者(自己)紹介

 

1989(平成元)年、岐阜県出身。早稲田大学文化構想学部卒業。2009年「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。お腹が弱い。10年「チア男子!!」でスポーツ選手ならではの大人数の書き分けに失敗。13年「何者」で第148回直木賞を受賞し、一瞬で調子に乗る。14年「世界地図の下書き」で第29回坪田譲治文学賞を受賞するが、「イイ話書いてイイ人ぶってんじゃねぇ」と糾弾される。春服と秋服が全く同じ。物持ちがいい。バカ舌。

 

目次

 

年表

学生篇

便意に司られる

ダイエットドキュメンタリーを撮る

地獄の100キロハイク

他学部の授業で絶望する

モデル(ケース)体験をする

母校を奇襲する

黒タイツおじさんと遭遇する

コンセプトカフェに潜入する

旅行を失敗する

旅行を失敗する(その2)

眼科医と衝突する

母がいろいろと間違う

スマートなフォンに振り回される

バイト先がつぶれる

ピンク映画で興奮する

リアル脱出ゲームで絶望する

地獄の500キロバイク

知りもしないで書いた就活エッセイを自ら添削する

自身の就職活動について晒す

社会人になることを嫌がる

社会人篇

直木賞を受賞しスかしたエッセイを書く

直木賞で浮かれていたら尻が爆発する

若手システムエンジニアになりすます

解説 かなり素敵な世代 光原百合