又吉直樹・石田ゆり子・林真理子オススメの本!プラトニックな大人の恋愛「マチネの終わりに」平野啓一郎

結婚した相手は、人生最愛の人ですか?

内容紹介

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。

出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。

感想

序盤は知性も教養もあり、感受性豊かな二人が自然と惹かれ合うので、今後の展開に期待が高まりました。それだけに中盤以降のすれ違いが重なり、関係が崩れてしまう展開は陳腐に思え残念でした。
世界的に有名な天才ギタリストと有名映画監督の父を持つ美人ハーフの主人公二人は、人としても出来ていて、道理を外れることのない道を選択し、歩んでいきます。人間味溢れる二人をを取り巻く人たちにより、一層二人が魅力的に見えるのかもしれません。

オススメ度 ★★

恋愛、生き方に悩む大人におすすめ

印象的な文章

「人は、変えられるものは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」


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2016年アメトーーク読書芸人・又吉直樹オススメの「私の消滅」中村文則

「掏摸」「教団X」を超える衝撃。

中村文則が放つ、新たな最高傑作!

私の消滅

私の消滅

 

 

 

 内容

 

「先生に、私の全てを知ってもらいたいのです。私の内面に入れますか?」

ある恋愛の根底に潜んでいた、想像を超える悪意。企みが、次々と姿を現していく。

これを読んでいる人間がいる・・・・・それはとてもありがたいことだ。でも、もう遅いかもしれないが、きみは・・・・・、きみは逃げたほうがいい。 

このページをめくれば、 あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。

一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。

それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。

感想

読んでいる最中も、読み終わった後も心が重くなる小説でした。

期待感が高まる出だしで始まったので、読了した後(読んでいる最中も)ここまで心が重くなる小説だとは思っていませんでした。

前半は精神の崩壊した凶悪犯罪者の手記を読んでいる気持ちになりました。後半から恋愛目線で読み進めると主人公が特別狂気な性質ではないような気がしてきて、ほんの少し読むのが楽になります。

彼女は、本当に僕のことが好きなのだろうか?僕のあの催眠がきっかけで、こうなっているのでは?いや、そもそも、これは医師と患者の転移現象であるから、本当は彼女は僕のことが好きでないのでは?これは洗脳でないのだろうか。でもこれが恋愛でないなら、本当の恋愛とは何だろう?

恋をすると自分が本当に恋愛感情の好きなのか、相手が本当に自分のことを好きなのか・・・疑ってしまうことは誰にでも多少はあると思うのです。

ECTを使用するシーンでは映画「カッコーの巣の上で」を思い出し、気が滅入りそうでした。

カッコーの巣の上で [Blu-ray]

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著者紹介

中村文則(なかむら・ふみのり】

1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。

02年「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年「遮光」で野間文芸新人賞、05年「土の中の子供」で芥川賞、10年「掏摸」で大江健三郎賞を受賞。他の著書に「悪意の手記」「最後の命」「何もかも憂鬱な夜に」「世界の果て」「悪と仮面のルール」「王国」「迷宮」「惑いの森~50ストーリーズ」「去年の冬、きみと別れ」「A」などがある。

「掏摸」の英訳版が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルで2012年のベスト10小説に、「悪と仮面のルール」の英訳版が同紙の2013年ベストミステリーの10作品に選出される。また2014年、ノワール小説の分野に貢献した作家に贈られるアメリカの文学賞「デイビッド・グーディス賞」を日本人として初めて受賞した。

 

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2016年「このミステリーがすごい」第1位!最後の20ページでどんでん返しの小説「王とサーカス」米澤穂信

 「満願」「折れた竜骨」の米澤穂信、渾身の書き下ろし最新傑作!

王とサーカス

王とサーカス

 

彼女は異邦でふたたび、自らの人生をも左右するような大事件に直面する。

彼女は何を見、何を聞き、何を胸に刻んだのか。

 

 

内容

 

わたしはまだ、何も知ってはいないのだ。

ひとにものを訊く意味も。

ひとにものを伝える意味も。

王とサーカス

王とサーカス

 

2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?

 

感想

 

 

私は小説の序盤、カトマンズの宿で知り合ったロブと朝食を食べた時の会話からこの小説に魅了されていました。ロブはネパールに来てから冷たいものも熱いものも食べていないとマチに不満を言います。マチはネパールの人は指を使って料理を食べるので、熱い料理を出したら火傷をしてしまうというロブとは違う見解を提示します。ささやかな発見、会話が面白いと思ったのです。そして、この会話がどんでん返しのヒントでもあったのです。読み終わった後に「やられた!」と思いました。ヒントはいくつも散りばめられていたのに。ちなみに犯人捜しの推理は、ど素人の私でも憶測できます。だからこそ、気を取られてしまっていたのか。

あとがきのこの一文が小説の全体を表していると思います。

たった一つの知識が物の見方を根底から覆し、別に知識が更なる修正を加えていく。やがて蓄積された知識は、お互いに矛盾しない、妥当だけれど思いがけない物の見方へと収束していく。 

古典部シリーズもですが、米澤穂信作品はミステリー+αがあるので、推理小説が苦手な人でも十分に楽しめます。

読んでから知ったのですが、「さよなら妖精」の登場人物が「王とサーカス」に登場しているそうです。(内容は連続していない)ベルーフシリーズとして、「真実の10メートル手前」も出ているので、こちらも読んでみたいと思います。

 

目次

 

 

1  祈るにも早い

2  トーキョーロッジ二〇二号室

3  レンズキャップ

4  路上にて

5  王の死

6  長い葬列

7  弔砲の夜

8  噂の街

9  王とサーカス

10 傷文字

11 注意を要する上出来の写真

12 茶話

13 尋問と捜索

14 ハゲワシと少女

15 二人の警官

16 INFORMER

17 銃と血痕

18 勇気の源

19 ペンを構える

20 がらんどうの真実

21 敵の正体

22 偉大なる場所

23 祈るよりも

あとがき

 

著者紹介

 

 

米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)】

1978年岐阜県生まれ。

2001年、「氷菓」で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞してデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目され、「春期限定いちごタルト事件」などの作品で人気作家として地位を確立する。11年に「折れた竜骨」で第64回日本推理作家協会賞、14年には「満願」で第27回山本周五郎賞を受賞」。「満願」は三つの年末ミステリ・ランキングで1位となり、また直木賞本屋大賞の候補にもなるほど、2014年最大の話題作となった。他の著者に「さよなら妖精」「犬はどこだ」「インシテミル」「追想五段賞」「リカーシブル」などがある。

 

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【恋愛ミステリー小説】恋愛に行き詰った女性にオススメのドラマ・映画化された『伊藤くんAtoE』柚木麻子

こんな男のどこがいいのか。

ほろ苦く痛がゆい、著者会心の成長小説。

 

岡田将生×木村文乃 初共演!

モンスター級【痛男(いたお)】 VS 崖っぷちアラサ―【毒女( どくじょ)】の予測不能な震撼恋愛ミステリーとして映画化!

伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)

伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)

 

傷つきたくない男と女の逃れがたき現実をとことん描いている。

後半が逸材だ。

読むと自分の本当の顔が見えてくる、最高の肝試し小説。

この本は、毒か薬か?!

すべてはあなたの内側の、闘争心次第。

 

内容

 

それぞれに魅力的な5人の女性を振り回す、伊藤誠二郎、27歳。

顔はいいが、自意識過剰、無神経すぎる男に彼女たちが抱く恋心、苛立ち、嫉妬、執着、優越感―。

 

伊藤くん  A to E

伊藤くん A to E

 

 A

伊藤に長い間片思いするが、粗末に扱われ続けるデパート勤務の美人

B

伊藤からストーカーまがいの好意を持たれる、バイトに身の入らないフリーター

C

伊藤の童貞を奪う、男を切らしたことのないデパ地下ケーキ店の副店長

D

処女は重いと伊藤にふられ、自暴自棄になって初体験を済ませようとする大学職員

E

伊藤が熱心に通いつめる勉強会を開く、すでに売れなくなった33歳の脚本家

 

感想

 

「ランチのアッコちゃん」でお馴染みの柚木麻子さん。アッコちゃんシリーズ以外の小説も読んでみたくて手に取りました。ちょうど2018年初春に岡田将生木村文乃W主演で映画が公開ということも知ったので、その前に読んでおきたかったです。ドラマ化も決定してます!

恋愛に行き詰っている人に読んで欲しい小説だと思いました。他人の恋愛に関しては冷静に状況が見えるのに自分のことになると全くわからんくなるのが恋愛。

伊藤くんは見た目以外に魅力的なところがありません。最初から最後まで良さがわかりません。それでも好きになってしまうのが恋、周りがいくら反対してもどうにも出来ないのが恋。恋は盲目。登場する女性たちの恋心、嫉妬、優越感・・・それは認めたくないけれど、一度や二度抱いてしまったことが私には(きっとあなににも)あるはず。

 

著者紹介

 

【柚木麻子(ゆずき・あさこ)】

 1981年東京都生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。

「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞受賞。2010年、受賞作を含む連作集「終点のあの子」でデビュー。3作目「嘆きの美女」がドラマ化。その他の著書に「あまからのカルテット」「けむたい後輩」「早稲女、女、男」「私にふさわしいホテル」「王妃の帰還」「ランチのアッコちゃん」がある。

 

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マタニティ、ママが涙する出産・育児エッセイ「きみは赤ちゃん」川上未映子

夫婦円満

安産祈願 

きみは赤ちゃん (文春文庫)

きみは赤ちゃん (文春文庫)

 

芥川賞作家

号泣と爆笑の出産・育児エッセイ 

 

 

内容

 

35歳ではじめての出産。

それは試練の始まりだった!

きみは赤ちゃん (文春文庫)

きみは赤ちゃん (文春文庫)

 

芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そし て分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。 さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブル にどう対処したかも、読みどころです。 これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!

 

感想

 

 

ママたちにオススメ!とよく紹介されている「きみは赤ちゃん」を読みました。ただいま絶賛妊娠中の私は出産編でのつわり、身体・心の変化に「そうそう!」と同感し、出産話に不安と感動が入り交じった感情を抱きました。そして、楽観的に構えていた産後編に恐怖を持ち始めています。涙もあり、クスッと笑えるエッセイでした!

 

だいたいさ、夫が家事とか育児とかをする場合、「やってくれてる」って言いかたがあるけど、あれっていったい、なんなんだろう。

 

仕事も家事も育児行う現代社会の女性。結婚しない、子供をつくらない選択が増えるのも頷けるんですよね。女性への負担が大きすぎる!家庭の問題じゃなくて、社会の問題だと私は思います。

 

母親が感じるこの手の「申し訳ない感」を、おそらく父親のほとんどがもたないのではなかろうか。

 

私もツワリで動けない間に家事を主人にしてもらう時に申し訳なくて仕方がなかった。それがどうしてなのかは未だにわからない。社会的になのか、本能的になのか・・・私も産後は主人に対して今までにない感情を抱くんだろうなー、産後は地獄と言うけれどツワリ地獄よりマシだろう、と若干マタニティハイなので、やはり楽観視してます。

 

目次

 

 

出産編 できたら、こうなった!

 

陽性反応

つわり

出生前検査を受ける

心はまんま思春期へ

そして回復期

恐怖のエアロビ

かかりすぎるお金と痛みについて

生みたい気持ちは誰のもの?

夫婦の危機とか、冬

そして去ってゆく、生む生むブルー

いま、できることのすべて

乳首、体毛、おっぱい、そばかす、その他の報告

破水

帝王切開

なんとか誕生

産後編 生んだら、こうなった!

 

乳として

かわいい拷問

思わず、「わたし赤ちゃんに会うために生まれてきたわ」と言ってしまいそう

頭のかたちは遺伝なのか

3ヶ月めを号泣でむかえる

ひきつづき、かかりすぎるお金のことなど

髪の毛、お肌、奥歯に骨盤、その他の報告

父とはなにか、男とはなにか

夫婦の危機とか、夏

いざ、離乳食

はじめての病気

仕事か育児か、あらゆるところに罪悪感が

グッバイおっぱい

夢のようにしあわせな朝、それから、夜

ありがとう1歳

 

あとがき

 

著者略歴

 

川上未映子(かわかみ・みえこ)】

1976年、大阪府生まれ。

2007年、初めての中編小説「わたくし率 イン 歯一、または世界」が第137回芥川賞候補となる。同年、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。2008年、「乳と卵」が第138回芥川賞を受賞。同年、長編小説「ヘブン」を発表し、芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞を受賞。2013年、詩集「水瓶」で高見順賞、短編集「愛の夢とか」で谷崎潤一郎賞を受賞。他の主な著書に「すべて真夜中の恋人たち」など。

2011年に作家の阿部和重氏と結婚、12年に男児を出産した。

  

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