こんな男のどこがいいのか。
ほろ苦く痛がゆい、著者会心の成長小説。
モンスター級【痛男(いたお)】 VS 崖っぷちアラサ―【毒女( どくじょ)】の予測不能な震撼恋愛ミステリーとして映画化!
傷つきたくない男と女の逃れがたき現実をとことん描いている。
後半が逸材だ。
読むと自分の本当の顔が見えてくる、最高の肝試し小説。
この本は、毒か薬か?!
すべてはあなたの内側の、闘争心次第。
内容
それぞれに魅力的な5人の女性を振り回す、伊藤誠二郎、27歳。
顔はいいが、自意識過剰、無神経すぎる男に彼女たちが抱く恋心、苛立ち、嫉妬、執着、優越感―。
A
伊藤に長い間片思いするが、粗末に扱われ続けるデパート勤務の美人
B
伊藤からストーカーまがいの好意を持たれる、バイトに身の入らないフリーター
C
伊藤の童貞を奪う、男を切らしたことのないデパ地下ケーキ店の副店長
D
処女は重いと伊藤にふられ、自暴自棄になって初体験を済ませようとする大学職員
E
伊藤が熱心に通いつめる勉強会を開く、すでに売れなくなった33歳の脚本家
感想
「ランチのアッコちゃん」でお馴染みの柚木麻子さん。アッコちゃんシリーズ以外の小説も読んでみたくて手に取りました。ちょうど2018年初春に岡田将生、木村文乃W主演で映画が公開ということも知ったので、その前に読んでおきたかったです。ドラマ化も決定してます!
恋愛に行き詰っている人に読んで欲しい小説だと思いました。他人の恋愛に関しては冷静に状況が見えるのに自分のことになると全くわからんくなるのが恋愛。
伊藤くんは見た目以外に魅力的なところがありません。最初から最後まで良さがわかりません。それでも好きになってしまうのが恋、周りがいくら反対してもどうにも出来ないのが恋。恋は盲目。登場する女性たちの恋心、嫉妬、優越感・・・それは認めたくないけれど、一度や二度抱いてしまったことが私には(きっとあなににも)あるはず。
著者紹介
【柚木麻子(ゆずき・あさこ)】
1981年東京都生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。
「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞受賞。2010年、受賞作を含む連作集「終点のあの子」でデビュー。3作目「嘆きの美女」がドラマ化。その他の著書に「あまからのカルテット」「けむたい後輩」「早稲女、女、男」「私にふさわしいホテル」「王妃の帰還」「ランチのアッコちゃん」がある。