作家の日々は、真剣かつ貪欲。
好きなものが多すぎて、ごめんなさい!
特別収録!短編「おじいちゃんと、おひさまのかおり」
内容
作家になる前から、作家になってから、 夢中で追いかけてきた小説、漫画、アニメ、 音楽、映画、美味しいもの……etc.
すべてが詰まった、読むと元気になれるエッセイ集!
作家になり、かつて憧れていたフィクションの向こう側に来た今だからわかることがある。読者が作者以上に、その作品や登場人物を愛することはある。自分が書いた以上のものを読者がそこに見ることは多分あるし、その意味で、作品は読者を絶対裏切らない。そんな小説をこれからも送り出していきたいと思う。―本文より
感想
「図書室で暮らしたい」タイトルに惹かれて読みました。壁一面に本棚がある部屋に住みたい。本好きであれば、誰もが憧れるますよね。
私が作家のエッセイで気になるのがどういう家庭で育ち、どんな学生で、どういった本を読んできたのかということです。面白い小説を書く人は特殊な人生を歩んでいるのではないかと疑っています。しかし、期待はことごとく裏切られ「案外、平凡」というパターンが圧倒的に多いです。辻村深月もしかり。本はかねり熱心に読んでいるが、家族構成も学生生活もいたって普通です。その普通の経験が読者から共感を得ているのかもしれません。
そして、謎に包まれた作家生活。
育児をしながら小説を書く。作家だろうが何だろうが子育てに悩むのは同じことのようです。[クローバーナイト]に反映されてたなぁーと思いながら読みました。でも、やっぱり「作家ってスゴイ!」と思ったのは、憧れの作家と仕事で同席したり、挨拶する機会があるということです。京極夏彦や綾辻行人に会うなんて!それは作家なので、当たり前のことなんでしょうが、今まで親近感を感じていた辻村深月もスゴイ作家の一員なんだって気づかされました。直木賞作家恐るべし。
目次
Ⅰ 週刊エッセイ
富士山とおせっかい
書店員さんのカリスマ性
赤ちゃんとホラー映画
うなぎの季節
なみせん
ドッペルゲンガーの本棚
図書館肝試し
豪雨に降られる
瀬戸内海のサバ
今日は何の日?
母子手帳にできること
おもてなしの一杯
靴を磨く
テレビ越しに同窓会
ジャムを煮る
悩ましいレストラン
インタビューの心得
バイキンマンのマーチ
東京會舘の思い出
日刊エッセイ
なりたい大人
怖い夢
結婚式のスピーチ
子ども番組の楽しみ
幕間の楽しみ
言葉の力
Ⅱ 好きなもの あちこちめぐり ―本と映画、漫画やアニメ、音楽も。
犬と恐怖の記憶
色つきの一週間
お姫様のゼリー
「モモちゃん」から「赤ちゃん」へ
“公共”n『ウォーリー』
始さんの年を越えて
『屍鬼』と旅する
「権威のこちら側」の『ジョジョ』
ジーザスとユダ 光と影
『輪るピングドラム』のこと
こわい漫画
世界とつながる
望み叶え給え
リリィだけがリアル
国民的ドラマを愛せる幸せ
木の向こう側からの手紙
お礼の言葉
Ⅲ 女子と育児と、もろもろの日々
初めてのカツカレー
幸福のスパイス
あの子が消えませんように
おにぎりとの再会
二色ムースのしあわせ
味のないオレンジジュース
驚きの豆腐
女子と文庫
キモノのススメ
成人式の日
“ジャイアン”の男気
輝ける花
「大丈夫」「大丈夫じゃない」
かけがいのない場所
紙い帯いる歴史
「岡島」の本屋さん
遠く、離れていても
「大人の薦める本」
出さない手紙
いじめられている君へ
マムシの記憶
うちの子へ
作家になって十年
Ⅳ 特別収録 おじいちゃんと、おひさまのかおり
Ⅴ 自作解説(というほどではないけれど、思うことあれこれ)
ありがと、徳川
チャレメの記憶
「当たり前」を届ける仕事
藍色を照らす光
階段をのぼる時
不意打ちのタイムスリップ
タイトルの勇気
「大好きだけど、大っ嫌い」
Ⅵ 直木賞に決まって
夏の帰り道
豊かに、近く
雷の足止め
その子と、友達に戻った
十七歳のサイン会
あとがき
著者紹介
【辻村深月(つじむら・みづき】
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年に「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著作に「凍りのくじら」「ぼくのメジャースプーン」「スロウハイツの神様」「島はぼくらと」「家族シアター」(以上、講談社)、「盲目的な恋と友情」(新潮社)、「ハケンアニメ!」(マガジンハウス)、「朝が来る」(文藝春秋)、「きのうの影踏み」(KADOKAWA)など。「ツナグ」(新潮社)で第32回吉川英治文学新人賞、「鍵のない夢を見る」(文藝春秋)で第147回直木三十五賞を受賞。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。