読書は趣味というより娯楽です

読書エッセー、たまに子育て日記

【ブックガイド】ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの長編小説7冊レビュー

カズオイシグロを知ったのは、確か、村上春樹柴田元幸の対談だったか、翻訳に関する共著だったかを読んだ時だったと思う。2人が好きな作家なら間違いないだろうとすぐに代表作『わたしを離さないで』、短編集『夜想曲集』を読んだ。

そこから間が空いてしまったが、2017年ノーベル文学賞を受賞したことにより、また読み始め、日本語翻訳されている長編小説は一通り読んだ。

カズオイシグロは日系イギリス人小説家。長崎で生まれ、5歳の時に父親の仕事の関係でイギリスに渡った。その後、英国籍を取得し、ロンドンに住んでいる。

長篇デビュー作『遠い山なみの光』王立文学協会賞。続いて『浮世の画家』でウィットブレッド賞を受賞。『日の名残り』では、35歳の若さでイギリス文学の最高峰ブッカー賞に輝いている。デビューからとんとん拍子で賞を総なめ、作品数は少ないもののノーベル文学賞までも受賞するのだからすごい。

 

 パラメーター

【読みやすさ】 平易 ・・・・ 難解

【作風】 リアル ・・・・ シュール

【登場人物】 少なめ ・・・・多め

【雰囲気】 暗め ・・・・ 明るめ

 

私が1番好きな作品は『わたしを離さないで』。カズオイシグロを初めて読む人にもオススメ。逆に初読みに『充たされざる者』はすすめない。文章は難しくないし、話も複雑ではないはずなのに、読み進めるのに根気がいる。

 

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

 

遠い山なみの光

オススメ度 ★★★ 星3つ

悦子は娘が自殺した喪失感の中、戦後まもない長崎で出会った母娘を回想する。

本作が著者のデビュー作。

カズオイシグロのバックボーン“日系イギリス人”と代名詞の〝信頼できない語り手〟の両方を楽しむことができる。 

 

 

浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)

浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)

 

 

浮世の画家

オススメ度 ★☆☆ 星1つ

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。

尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。

小野は過去を回想しながら、自らが貫いてきた信念と新しい価値観のはざまに揺れる。

本作が土台となり、『日の名残り』へ繋がっていく。

 

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

 

日の名残り

オススメ度 ★★★ 星3つ

品格のある執事を追求し続けてきたスティーブンスはかつての女中に会いに短い旅に出た。

旅中、長年仕えたダーリントン卿時代の日々を回想する。

語り手は記憶があいまいな主人公のスティーブンス。

過去は美化されやすい。スティーブンスは旅中に記憶と事実の違いに直面する。

 

 

充たされざる者 (ハヤカワepi文庫)

充たされざる者 (ハヤカワepi文庫)

 

充たされざる者

オススメ度 ★★☆ 星2つ

世界的ピアニストのライダーは、町の危機を乗り越える最後の望み「木曜の夕べ」という催しで演奏する予定だが、日程や演目さえ彼には定かでない。

ライダーはそれとなく詳細を探るが、奇妙な相談をもちかける市民たちが次々と邪魔に入る。

何だかよくわからないまま終わってしまう、全体的に霧がかかったようにはっきりしないストーリー。

 

 

わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)

わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)

 

わたしたちが孤児だったころ

オススメ度 ★★☆ 星2つ

両親の行方を突き止めるために探偵になった主人公の小説。

人の記憶というものは曖昧。

主人公のバンクス本人が信じていることと客観的な事実とのズレがり、悲しい結末を迎える。

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

『わたしを離さないで』

オススメ度 ★★★ 星3つ イチオシ!

優秀な介護人キャシーは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。

ヘールシャムにある全寮制での奇妙な日々に思いをめぐらす。

少しずつ明らかになっていくキャシー自身も知らない秘密に胸がドキドキした。

私が一番好きな作品、映画も見たけど、映像化には難しさがあると私は思った。

 

忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

 

忘れられた巨人

オススメ度 ★★☆ 星2つ

遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村をあとにした老夫婦。

ある村で少年を託されたふたりは、若い戦士を加えた四人で旅路を行く。

竜やら騎士が出てきて、ファンタジーテイストでありつつも、なぜか単調に話は進んでいく。物事が単調に進んでいくのは他の作品も同じですが。

なかなか読み解くのは難しい作品で、私は読み終わった後も頭に“?”が浮かんでる。