2019年11月の読書レビュー

2019年11月に読んだ本の簡単なレビュー

 

読んだ本の数:9冊

読んだページ数:2917ページ

 

 

 

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

 

遠い山なみの光』 カズオイシグロ

オススメ度 ★★★ 星3つ

悦子は娘が自殺した喪失感の中、戦後まもない長崎で出会った母娘を回想する。

本作が著者のデビュー作。

物語の最初から最後まで、靄がかかっかのように話がはっきりしない。

カズオイシグロの代名詞〝信頼できない語り手〟は、デビュー作から続いているのね。

何が真実で、どこが主人公の創作なのか・・・謎解きされないところは好き。

 

 

罪の声 (講談社文庫)

罪の声 (講談社文庫)

 

『罪の声』 塩田武士

オススメ度 ★★★ 星3つ

グリコ・森永事件がモチーフ。

ノンフィクションかのようなリアリティさに惹き込まれた。

自分と家族が事件に関わっているのか真実を解き明かそうとするテーラー、事件の真相を追う新聞記者。

主人公二人がいつ出くわすのか、ハラハラしながら読んだ。

大人の身勝手な理由から子供が事件に巻き込まれていく…負の連鎖を断ち切るのは難しい。 

 

 

学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす

学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす

 

『学力テストで計れない非認知能力が子どもを伸ばす』 中山芳一

オススメ度 ★☆☆ 星1つ

非認知能力とは?どうやって身に付けていいの?なぜ注目を集めているの?をわかりやすく解説。

非認知能力の本を何冊か読んだことがある人にとって、前半は目新しい内容ではない。

後半からの取組事例は面白かった。

「手書き」か「入力」か問題。「手書きだと子どもの心の乱れなどがわかる」という一部の先生方の教育熱心な意見には感服。

 

 

騙し絵の牙 (角川文庫)

騙し絵の牙 (角川文庫)

 

『騙し絵の牙』 塩田武士、大泉洋

オススメ度 ★☆☆ 星1つ

大手出版社で雑誌編集長を務める速水は、上司から廃刊を匂わされる。

天性の人たらし速水が業界全体にメスを入れる!

北海道育ちの私としては、モデルが“大泉洋”なのがいい。

内容は池井戸潤のドラマのようなどんでん返し。

それはそれで面白かったけど、私は『罪の声』のようなシリアスな方が好き。

 

 

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法

 

『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』 ロルフ・ドベリ

オススメ度 ★☆☆ 星1つ

心理学、行動経済学、哲学、投資家や起業家の思想をひもとき、よりよい人生を送るための思考法がまとめてある。

どこかで読んだことがあるような思考法が満載。

この手の本をいくつか読んだことがある人、新しい思考法を求めている人には物足りない。

 

 

佐藤ママの子育てバイブル 三男一女東大理III合格!  学びの黄金ルール42

佐藤ママの子育てバイブル 三男一女東大理III合格! 学びの黄金ルール42

 

『佐藤ママの子育てバイブル 三男一女東大理III合格! 学びの黄金ルール42』 佐藤亮子

オススメ度 ★★★ 星3つ

子ども4人を最難関医学部の東京大学理科III類に進学させた佐藤ママが、子どもが0歳から18歳まで実践してきた子育てのノウハウ本。

子どもを東大に進学させたことだけが、佐藤ママの凄さではない。

常に子どもの考え、笑顔を絶やさず、愛情を持って接していることが物凄いのだ。

テストで悪い点数を取ったり、勉強をしない子どもにイライラせず、怒らずに笑顔でいることが出来るだろうか。

私は自信がない。

佐藤ママの子育て方法は賛否両論あるけれど、誰がその子育て方法が正しいと決めるのか。

第六章の家族から佐藤ママへのメッセージを読む限り、愛情いっぱいに育てられたことが伝わってくる。

それが答えだと思った。

 

 

「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 (光文社新書)
 
 

『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 』 山口 慎太郎

オススメ度 ★★☆ 星2つ

結婚、出産や子育てをエビデンス(科学的根拠)によって解説。

直近で結婚、出産、子育てについて情報を集めたことがある人であれば、読んだことのあるような内容だと思う。

本格的に(ちょっとはもちろんあるw)情報収集をしたことがない離婚については、初耳が多かった。

著者もおっしゃってましたが、当たり前のことをデータで確認しておくのは大切なこと。

ほとんどが欧米のデータであり、データですら数年後には間違い、ということも有り得ると思っている。

私は鵜呑みにしないで、参考程度に取り入れるスタンスです。 

 

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

 

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 』 ブレイディ みかこ

オススメ度 ★★★ 星3つ

イギリス在中の著者が、世界の縮図のような「元・底辺中学校」に通う息子の日常を描いている。

本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞。

私はジャンル分けするならエッセイではないかな、と思いながら読んだ。

イギリスが抱える問題を著者と著者の息子を通して知ることができる。

難しい問題もエッセイテイストだから読みやすい!

日本でニュースなどから知るイギリスと、イギリスに住む人たちから見るイギリスは随分違う。

日本もこれから人種差別問題について真剣に考えていかないといけない。

外国人観光客、外国人労働者が増加している日本も他人事ではない。

無料お試し版があり。まずは読んでみて欲しい。 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 無料お試し版

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 無料お試し版

 

 

 

 

浮世の画家』  カズオイシグロ

オススメ度 ★☆☆ 星1つ

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。

尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。

小野は過去を回想しながら、自らが貫いてきた信念と新しい価値観のはざまに揺れる。

正直、著者の他作品『日の名残り』じゃん!と思った。 

 私は断然、『日の名残り』の方が読み応えがあって好き。

社会が変わり、気づかぬうちに正しいと思われていた価値観が変わる。

戦争がなくても、自分自身にも起こりえることだと思った。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

 

 

 

*1:ハヤカワepi文庫

*2:ハヤカワepi文庫

*3:ハヤカワepi文庫