第21回電撃小説大賞<メディアワーク文庫賞>受賞作
内容紹介
ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。なぜ赤の他人をここまで気にかけてくれるのか?気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で鬱になり自殺した男のニュースだった――。
オススメ度 星2つ ★★
仕事が辛い、辞めたいと思う人に1度読んで欲しい本
感想
母がひどく映画を気に入り、文庫本を買ってきました。会話が多く、テンポよく話が進むので、病院の待ち時間で全て読み終えました。
弱いから甘えているから辞めたいと思っているのではないか、先輩方は頑張っているし迷惑がかかる、せっかく就職したのに、辞めてもやりたいことはないし、仕事はすぐに見つからないし…ブラック会社なのかな?と思っても社会経験の乏しい自分には判断がつかない。友人に話しても「最初はそんなもんだよ」「私のところもだよ」「もう少し頑張ってみたら?」と言われるだけ。社会に出たばかりの自分を思い出しました。
朝が恐い、そのうちご飯も喉を通らなくなる。勘づいた母は「仕事を辞めると明日言いなさい」と私に言い聞かせました。もしあの時、私のヘルプに誰も気が付かず、母の一言がなかったらどうなっていたんだろう?ヤマモトがいなかったら、隆はどうなっていたんだろう?
印象に残った文章
「でも、そんな僕にでもひとつだけ変えられるものがあります。それが、自分の人生なんです。そして、自分の人生を変えることは、もしかしたら、周りの大切な誰かの人生を変えることに繋がるのかもしれない。(省略)」