人を自由にする学問リベラルアーツを本で学ぶ!自分自身を知ることが現代の教養「おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」池上彰

教養とは「自分を知ること」です。

現代人必須の「リベラルアーツ」一気に身につく決定版

7科目のエッセンスを、講義形式で明快に解説!

すぐに役立つことは、すぐに役立たなくなる!

 

内容

 

すぐに役に立つことは、世の中に出て、すぐに役に立たなくなる。すぐには役に立たないことが、実は長い目で見ると、役に立つ。

 現代の教養とは具体的に何を学べばいいでしょうか。

すぐには役立たたなくても、社会に出て、やがて有効に働くようになる。

そういう生きる力になるものはとは、何でしょうか。

それは「自分がどういう存在なのか」を見つめていくことなのではないでしょうか。

「自分自身を知る」ことこそが現代の教養だろうと私は思います。

自分はどこから来て、どこへ行こうとしているのか。

この場合の「自分」とは、文字通りの自分のことでもあるし、日本人あるいは人類のことでもあります。(本文より)

 

感想

 

教養と聞くと難しいイメージがあり、身構えてしまう。途中で読むのを止めてしまうのを覚悟してたが、そんな心配は必要なく一気に読み終えてしまった。学校の授業だったら、勉強嫌いんいならずに済んだのにと思う程、わかりやすく、面白かった。この本をキッカケに知りたい!学びたい!と欲も出てきた。

特に歴史については驚愕した。「歴史は進歩する」という一つの歴史観、日本・ヨーロッパ中心で世界を見ていた。それに疑問すら持たなかった。

なぜ何度も内戦を繰り返すのか。それは過去にどんな出来事が起こり、どのようなことになると人びとが争い、殺し合うことになるのかという知見が蓄積されていないからではないでしょうか。戦争や内戦になると、記録を残すことが難しくなります。その結果、記録の継承もできないので、愚かなことが繰り返されるのではないかと思うのです。

自分がいかに平和に暮らしているかを思い知った一文。戦争になると記録を残すのが難しい、知見が蓄積されないとは思ってもいなかった。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」自らの経験のみに頼るのは愚かなことである、他人の経験を記した歴史に学ぶべきだ。

歴史を学ばない(学べない)ことがどうなるかを知ったことで、やっと歴史を学ぶ意味を知った。私たちが学んだ歴史は勝者の物語で、氷山の一角でしかない。実はそれ以外にも知られざる歴史がたくさんある。多様な歴史観を持ちたい。

 

 

 

目次

 

序章 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?

―現代の教養七科目

理系と文系の間の溝

東工大教授の職を引き受けた理由

解体された教養部

リベラルアーツ」が見直された背景

日本のリベラルアーツ教育

すぐに役立つことは、すぐに役立たなくなる

現代の自由七科

第一章 宗教

―唯一絶対の神はどこから生まれたのか?

風土によって異なる宗教が生まれる

ユダヤ教とはどのような宗教か?

ユダヤ教キリスト教の違い

「旧約」「新約」とはどういう意味か

かつてキリスト教のシンボルは魚だった

ムハンマドが聞いた天使の声

ユダヤ教キリスト教イスラム教の神は同一

イスラム教の終末観

ゴーダマ・シッダールタの出家

「輪廻」と「解脱」

宗教は変化する

キリスト教、仏教の変化

宗教紛争の本質

現代人にとっての宗教

第二章 宇宙

ヒッグス粒子が解き明かす私たちの起源

天動説から地動説へ

キリスト教は地動説を認めなかった

宗教と科学は切り離されたのか?

ハッブルの大発見

「ビックバン」は悪口だった!?

ヒッグス粒子はなぜ大発見なのか?

宇宙、そして地球の誕生

たかが仮説、されど仮説

第三章 人類の旅路

―私たちは突然変異から生まれた

進化=進歩ではない

突然変異とはどういうことか

ダーウィン進化論の衝撃

はるか昔の年代の調べ方

人類はアフリカから始まった

人類移動のルート

地域によって肌の色が違う理由

マラリアにはかかりにくく、貧血を起こしやすい遺伝子

ネアンデルタール人ホモ・サピエンスの違い

第四章 人間と病気

―世界を震撼させたウイルスの正体

吸血ダニとの格闘から花粉症は生まれた

現代的な生活がつくる病

細菌とウイルスとの違い

抗生物質はウイルスに効かない

「インフルエンザ」の語源を知っていますか?

スペイン風邪の猛威

スペイン風邪第一次大戦を終わらせた

スペイン風邪の正体

ウイルスの突然変異

中国農村部で新型ウイルスが生まれる理由

鳥から直接感染するインフルエンザ

世界を震撼させた豚インフルエンザの真実

豚インフルエンザの患者数が一番多かった国は?

病気が人類の歴史を大きく変えてきた

第五章 経済学

―歴史を変えた四つの理論とは?

近代経済学の父アダム・スミス

「見えざる手」とは何か

カール・マルクスの「労働価値説」

社会主義の失敗

常識をくつがえしたケインズ革命

ケインズは死んだ」

フリードマン新自由主義

新自由主義は格差を拡大させた

経済学は変わる

第六章 歴史 

―過去はたえず書き換えられる

歴史として残るもの、残らないもの

進歩史観の確立

なぜ四大文明は歴史に刻まれたのか

記録の蓄積は愚行を遠ざける

歴史観は一つではない

「歴史の真実」は変わる

歴史は権力によって書き換えられる―北朝鮮と韓国の例

政治的意図による歴史づくり―中国の例

東京裁判史観」と「大東亜戦争

歴史とどうつきあっていくべきか

第七章 日本と日本人

―いつ、どのようにして生まれたのか?

「日本」という名の由来

ニッポンかニホンか

「日本人」は一八七三年に誕生した

時代を貫く日本人のアイデンティティは存在しない

国家意識はいかにつくられるか

健全な愛国心とは何か

メイド・イン・ジャパンは「安かろう、悪かろう」の代名詞だった

海外で愛される日本

韓国・中国と東南アジアの違い

他者との関係から自分・自国を認識する

おわりに

文献案内