大阪ミナミ、夜の街に棲む男女の情けなくも愛おしい生「地下の鳩」 西加奈子

 

「地下の鳩」 西加奈子

 

西加奈子さんの未読の文庫本を見つけた。

都内の電車で読んでいたのに大阪の電車内にいる気分になった。

鬱屈とした世界の中で一生懸命に生きようとする登場人物達は、僕にとってとてもまぶしい存在です。

まっすぐで、不器用で、でも品があるんです。

とても愛しく感じるんです  ――又吉直樹(ピース)

 

 

地下の鳩 (文春文庫)

地下の鳩 (文春文庫)

 

 

目次

地下の鳩

キャバレーの呼び込みをするイキり癖のある吉田は、素人臭さの残るスナックのチーママみさをに出会い、惹かれていく。

「何よ。」

「いや、何もない。」

「もう帰る?」

「おう。」

でも吉田は、みさをのことが、まだ好きだった。 

 

タイムカプセル

話術に長け、皆から慕われるオカマのミミィがなぜ客に殴りかかったのか。

「小さいときに傷ついた人って、一生傷つかなあかんのでしょうか。」

 面会に来たことりが、そう言った。その言葉で、ミミィは故郷に戻ろうと思った。

 

感想

私には遠い夜の街。

その日、その日を一生懸命生きているようにみえる不器用で真っ直ぐな登場人物たち。

私はその日、その日を一生懸命生きているとは胸を張って言えない。

真っ直ぐでもない。

だから、やっぱり私には遠い。