「ランチのアッコちゃん」柚木麻子
昨年秋、ツイッターでは#本棚の10冊で自分を表現するというのが流行りました。
私にとって裸を見せるのと同じくらい本棚を見せるというのは恥ずかしい行為です。自分を全て曝け出しているようなものだからです。
見せるのは嫌、でも他人の本棚を見るのは好きです。
本棚にある本または並べ方でその人がわかってしまう(わかった気がする)その人の知らなかった一面、新たな本との出会いにワクワクします。
GWは実家に帰省し、母の本棚にあった「ランチのアッコちゃん」を読みました。母の本のチョイスは私と似ているようで、同じではないところが面白いです。
目次・あらすじ
ランチのアッコちゃん
ひょんなことから彼氏に振られたばかりの派遣社員の三智子は営業部長の通称“アッコさん”と一週間ランチを交換することになる。
夜食のアッコちゃん
男性社員へバレンタインの義理チョコを渡すかどうかで正社員と派遣社員が対立し、中立の立場にいる三智子は頭を悩ませていた。そんな時に“アッコさん”に再会する。
夜の大捜査先生
合コンに参加していた野百合は高校時代に追いかけられていた担任ゾノせんに偶然会い、逃亡中の生徒ハマザキを追いかける。
ゆとりのビアガーデン
豊田の会社を一年前に退職した“使えない”社員だった玲実はビルの屋上でビアガーデンを始める。玲実が1日100人の集客ノルマを達成したら豊田は店に行く約束をする。
バラメーター ※ネタバレあり
恋愛度 ★☆☆☆☆ 星1つ
四年付き合った恋人からの最後のメールが切ない。
YESが彼女の良さでもるのに。
ランチのアッコちゃん
<お前ってNOが言えないっていうより、YESしか言えないんじゃねえの?>
友情度 ★★★☆☆ 星3つ
アッコちゃんのような上司が羨ましい、憧れます。
夜食のアッコちゃん
「(省略)今いる場所でちゃんとやれない人間が、私の役に立とうなんて百年早いのよ。そんないざこざ、頭の使い方次第でスマートに解決できるはずよ」
センターヴィレッジの社長・豊田と玲実の関係もいいです。
ゆとりのビアガーデン
本当は気付いていた。若手を育てる余裕がなかったのではない。単に若手を食いつぶしていただけなだのだ。唯一飲み込まれなかったのが、この玲実なのだ。これくらい図々しくなければ、自分を保てないような環境なのだ。それを作り出したのは、他でもない。自分だった。
家族度 ★☆☆☆☆ 星0つ
自分のことは自分よりも配偶者の方がよく知っているかもしれないです。
ゆとりのビアガーデン
―あなたって、結局、怖がりなのよ。自分にとって居心地の良い生き方を追求するのが怖いのよ、それは逃げじゃないのに・・・・・・。
イケメン度 ★☆☆☆☆ 星1つ
これといったイケメンは出てこないです。
女性がかっこいい小説です。
オシャレ度 ★★★☆☆ 星3つ
アッコちゃんは多趣味で、行動範囲も広くて、何よりオシャレです。
ランチのアッコちゃん
仕立ての良いパンツスーツや、上質のカシミヤを愛用していて、よく似合う。質素なオフィスで一人だけエグゼクティブのオーラを放っている。
グルメ度 ★★★★★ 星5つ
三智子がとっさに作った「ビスマルク」の新メニュードライカレー。
冷蔵庫の有り合わせで手早く作る姿は普段から料理しているのが伝わります。
ランチのアッコちゃん
わずかにルーがこびりついているカレー鍋を熱し、バターを溶かした。鍋底を菜箸で、がりがりとこそぐようにしながら、玉ねぎとにんにく、ベーコンに続いてご飯を投入し、炒め合わせる。見る見るうちに、ご飯はカレー色に染まり、食欲をそそる、香ばしいにおいを漂わせ始めた。ソースで味を調整し、一口味見する。
感想
「ランチのアッコちゃん」は女の子の応援ストーリーでもあり、お仕事小説でもあります。
失恋で落ち込んでいる時、仕事の人間関係で悩んでいる時に「ガンバロー」という気持ちにもなりますし、一歩前進するヒントも隠されています。
そして、仕事への対する考え方も改めることが出来ます。
アッコちゃんは宮下奈都の「太陽のパスタ、豆のスープ」のロッカさんに似ている部分があると感じました。