「流しの下の骨」 江國香織
ドアを開ける音で誰が帰ってきたのかわかる。
「流しのしたの骨」は六人家族のなんてことない日常生活が描かれた小説である。
家族にしか通じない言葉や習慣、ルールがある。
自分の家庭内ではごく当たり前のことでも、他人からすると奇妙だったり、驚きだったりする。
あなたも宮坂家の生活を覗いてみませんか?
あらすじ
高校を卒業し、何もしていない宮坂家の三女こと子は夜の散歩が習慣。昨年結婚したおっとりしていて頑固な長女そよちゃん、夜遅くまで働く変わり者の次姉しま子ちゃん、中学生の“小さな弟”律との四人姉弟。料理が得意の母、規律を重んじる父との六人家族の日々の出来事を描いた家族の物語。
バラメーター
恋愛度 ★★★★☆ 星4個
こと子ちゃんと深町直人のデートは幸福に満ち溢れている。
二人の関係は静かでおっとりしていて、微笑ましい。
友情度 ★☆☆☆☆ 星1個
こと子ちゃんの同級生のクリーニング屋の娘は学校を卒業してからの交流だ。
案外、卒業してから距離が縮まることもあるもの(身に覚えあり)
家族度 ★★★★★ 星5個
素直に家族っていいなぁ、姉弟っていいなぁと思える。
温かくて、家族愛に溢れている。
イケメン度 ★★★★☆ 星4個
深町直人は大学生のくせにこと子を包み込む優しさがあってかっこいい。
言葉数が少なく、人形作りに没頭する律には将来期待。
オシャレ度 ★★★★☆ 星4個
江國小説は生活のスタイルがどこか世間離れしていて好きで、憧れちゃう。
そよちゃんはマーガレットハウエルを着て、アニエスベーのバックを持っている。
上品なことがわかる。
グルメ度 ★★★★☆ 星4個
江國小説はお酒が飲みたくなるのが多いけど、これはご飯が美味しそう。
特に四人姉弟が夜な夜な作るしゅうまいは絶対美味しいと思う。
感想
中学生の頃、同級生たちが読み出した小説の中でも特に人気の作家だった江國香織さん。ハリー・ポッターなどのファンタジー物語が好きだった私にとっては、背伸びして図書館で借りたのが「流しのしたの骨」である。
図書館で何度も借りすっかりお気に入りになった本は、いつでも読み返せるように文庫本を買うに至り、10年経った今でも私の本棚にある。
初めて読んだときは律と同じ中学生だった。こと子ちゃんと同じ年齢の時はちょうど私も何もしていない時期があり、こと子ちゃんの気持ちがよくわかった。しま子ちゃんの年齢の時は私も仕事に恋に奮闘していので、しま子ちゃんの言動がわかったような気がする。今は結婚をし、そよちゃんと同じ年齢くらいになった。そうすると今度はそよちゃんに感情移入していまう。今度は宮坂家の母だろうか。10代から20代の女性の成長過程で通る道がさり気なく、書かれている。
そして、この本が私のお気に入りであり続ける一番の理由は、私と同じ“四人姉弟”であり“六人家族”であることが大きい。四人いると面白いもので、宮坂家のようにちょとした事件が起こったり、団結したり、作戦会議をしたりする。それは四人だから出来ることで、四人でしかわからないことのような気がする。私は家族が大好きだ、だから家族全員が家族が好きなこの小説が大好きだ。