直木賞受賞小説「ホテルローヤル」 桜木紫乃

 

 

ホテルローヤル」 桜木紫乃

 

第149回直木賞を受賞した時から気なっていて、ようやく読めた小説。

私自身が北海道育ちということもあって、舞台が釧路市なのは親近感が沸く。

私が住んでいた地域である札幌を中心とした道南からは、釧路がある道東は距離が離れていて、釧路には2度しか訪れたことはないけれど。北海道広過ぎ。

それでも道民としては読んでおきたい作品、作家。

 

ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル (集英社文庫)

 

 

あらすじ&目次

ラブホテル「ホテルローヤル」を舞台に男女様々な非日常を描いた作品。

シャッターチャンス

元アイスホッケー選手の恋人にヌード写真のモデルに誘われ、撮影場所である廃墟となったラブホテル「ホテルローヤル」にやってきたスーパーの事務員の女性。

本日開店

二十の年の離れた僧侶と結婚し、寺を維持するために檀家と肌を重ねる幹子。檀家の一人である佐野との余韻が腹の奥に溜まっていた。

えっち屋

ホテルローヤル」の経営者の娘の雅代はホテルを廃業し、後始末に在庫の引き取りを出入り業者の玩具販売の宮川にお願いする。

バブルバス

狭い賃貸アパートに子ども二人と舅と暮らし、寝室がない夫婦。家では手を握り合うこともままならない夫婦が向かったのは「ホテルローヤル

せんせぇ

妻が高校時代の担任と二十年にわたり関係を続けていることを知った数学教師。ホームレスになった教え子の女子高生と単身赴任先の木古内から妻のいる札幌に向かう。

星を見ていた

ホテルローヤル」の掃除婦のミコは朝から晩まで働き、三人子どもが出て行った十歳年下の夫が待つ家に帰る。

ギフト

四十二の大吉は同い年の女房と小学生の息子がいるにも関わらず、年が自分の半分しかない女に惚れ、ラブホテルの経営を決心をする。 

 

バラメーター

恋愛度   ★★★★★ 5個

年の離れた男女の恋愛関係。

甘いだけじゃないどこか寂しい男女の関係。

友情度   ☆☆☆☆☆ 0個

恋愛小説なので友情関係は描かれていない。

家族度   ★★★☆☆ 3個

色々な形の夫婦関係が描かれてる。

恋人ではなく、夫婦だからこその愛情がある。

イケメン度  ☆☆☆☆☆ 0個

女性がキュンキュンするような男性は登場しない。

とても現実味を帯びている男性ばかり。

情けなくて、弱い・・・これがリアルでしょう。

オシャレ度  ☆☆☆☆☆ 0個

パート代の半分を美容に使う女性も出てくる。

主人公のファッションに対する関する描写はほとんどない。

あっても主人公は興味がない。

グルメ度   ☆☆☆☆☆ 0個

オシャレ度と同様に特別食事に関する描写はない。

 

感想

ラブホテルが舞台だと聞くと勝手な偏見から読みづらいイメージがあった。

舞台がラブホテルなだけで、話の内容は様々な男女の関係を描いたもの。

決してやらしくない。

そして、ラブホテルだからこその寂しさがあるように感じた。

私が気に入ったのは「星を見ていた」

母親からの教えを守り、一生懸命に働き、いつも笑顔の六十歳の女性が主人公の話。

ミコがあまりにも真面目で切なくなる。