就活小説「何者」のアナザーストリー6篇
内容紹介
光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。 理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。 瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。 立場の違うそれぞれの人物が織り成す、`就活'の枠を超えた人生の現実。
収録作品(関連人物)
『水曜日の南階段はきれい』(光太郎)
『それでは二人組を作ってください』(理香、隆良)
『逆算』(サワ先輩) 『きみだけの絶対』(ギンジ)
『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』(瑞月の父)
『何様』(?!)
感想
「何者」を読んでいなくても楽しめる短編小説でした。同世代ということもあると思うのですが、どの短編も共感できる部分が多かったです。「逆算」は私も計算したことがありますし、「何様」の主人公のように自分が選ぶ立場になって考え込んでしまった経験もあります。現代人のSNSとの関わり方を描くのはずば抜けて上手いですし、作者自身が経験したと思われる就職活動や会社員とのして苦悩にもリアリティがあると感じました。
最近、寝転ぶと、胸が横に流れる。このベッドを使っていたころは、ブラジャーをしないで眠ることなんて何も怖くなかった。(むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった)
そうそうと納得させられている自分がいて、朝井リョウが恐い(もちろん良い意味で)と思いました。私的に進化、期待の小説家の一人です。
オススメ度 ★★
SNSが当たり前の若者にオススメの小説。
印象に残った文章
叔父さんが何かを差し出すことができるとして、その相手は、土日にきちんと自分の時間を持つことができて、この舞台を観に行くというお金と体の使い方ができる、本当にごく一部の人だけだ。
関連本