2016年アメトーーク読書芸人・又吉直樹オススメの「私の消滅」中村文則

「掏摸」「教団X」を超える衝撃。

中村文則が放つ、新たな最高傑作!

私の消滅

私の消滅

 

 

 

 内容

 

「先生に、私の全てを知ってもらいたいのです。私の内面に入れますか?」

ある恋愛の根底に潜んでいた、想像を超える悪意。企みが、次々と姿を現していく。

これを読んでいる人間がいる・・・・・それはとてもありがたいことだ。でも、もう遅いかもしれないが、きみは・・・・・、きみは逃げたほうがいい。 

このページをめくれば、 あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。

一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。

それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。

感想

読んでいる最中も、読み終わった後も心が重くなる小説でした。

期待感が高まる出だしで始まったので、読了した後(読んでいる最中も)ここまで心が重くなる小説だとは思っていませんでした。

前半は精神の崩壊した凶悪犯罪者の手記を読んでいる気持ちになりました。後半から恋愛目線で読み進めると主人公が特別狂気な性質ではないような気がしてきて、ほんの少し読むのが楽になります。

彼女は、本当に僕のことが好きなのだろうか?僕のあの催眠がきっかけで、こうなっているのでは?いや、そもそも、これは医師と患者の転移現象であるから、本当は彼女は僕のことが好きでないのでは?これは洗脳でないのだろうか。でもこれが恋愛でないなら、本当の恋愛とは何だろう?

恋をすると自分が本当に恋愛感情の好きなのか、相手が本当に自分のことを好きなのか・・・疑ってしまうことは誰にでも多少はあると思うのです。

ECTを使用するシーンでは映画「カッコーの巣の上で」を思い出し、気が滅入りそうでした。

カッコーの巣の上で [Blu-ray]

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著者紹介

中村文則(なかむら・ふみのり】

1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。

02年「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年「遮光」で野間文芸新人賞、05年「土の中の子供」で芥川賞、10年「掏摸」で大江健三郎賞を受賞。他の著書に「悪意の手記」「最後の命」「何もかも憂鬱な夜に」「世界の果て」「悪と仮面のルール」「王国」「迷宮」「惑いの森~50ストーリーズ」「去年の冬、きみと別れ」「A」などがある。

「掏摸」の英訳版が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルで2012年のベスト10小説に、「悪と仮面のルール」の英訳版が同紙の2013年ベストミステリーの10作品に選出される。また2014年、ノワール小説の分野に貢献した作家に贈られるアメリカの文学賞「デイビッド・グーディス賞」を日本人として初めて受賞した。

 

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