2016年本屋大賞ノミネート、ドラマ化!子を産めない者、子を手放した者、女性の葛藤と人生を描いた感動長編小説「朝が来る」辻村深月

 

号泣必須。

直木賞作家の到達した圧倒的な境地!

2016年 本屋大賞ノミネート!

朝が来る (文春e-book)

朝が来る (文春e-book)

 

本当の意味の「親」とはなにかを教えてくれる傑作です。

 

 

内容

 

「子どもを返してほしいんです」

親子三人で暮らす栗原家にある朝かかってきた一本の電話。

電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、

確かに息子の産みの母の名だった。

朝が来る

朝が来る

 

不妊治療との長く辛い闘いの末に栗原夫妻が選んだ道は、特別養子縁組だった。五年後、朝斗と名付けた男の子と家族三人の穏やかな日常の幸せを噛みしめるように暮らす栗原家。朝斗が幼稚園に行っている日中、栗原家を「片倉ひかり」と名乗る若い痩せすぎの女性が訪ねてくる。片倉ひかりは朝斗の産みの母親の名前だ。だが、夫婦の記憶にある彼女の面影は、眼下の女性にはない。時をおいて、栗原家に刑事がやってくる。栗原家を訪ねると言ったまま「片倉ひかり」という女性が姿を消したのだというーーー

 

感想

 

子どもが親を探す

第一章は幼稚園に通う朝斗を育てる佐都子について書かれています。子ども同士のケンカ、ママ友、幼稚園の先生、近所付き合い・・・これから母になる私もそういった人間関係で悩んだり、苦労することがあるのかなと想像しつつ読みました。朝斗への接し方、朝斗の感情を察する文章は作者の辻村深月さんの母親としての目線が活かされていると思いました。

第二章は佐都子夫婦のもとに朝斗がやってくるまでの苦悩が書かれています。

 子どもはいてもいなくてもいい。夫婦二人だけでいい、と思っていたはずだった。

 けれど、どちらでもよかったはずの可能性は、最初から閉ざされていたのだとわかると、わかってしまったことで、佐都子たちの胸を強く締め付けた。このままでは、その未来は確実にないのだ。

[第二章 長いトンネル] 

私たち夫婦も結婚当初の佐都子と同じ気持ちでした。妊活をするまでもない、夫婦二人でもいい。そして心の隅にいずれ子どもは出来るだろうという考えがありました。だから、子どもを作らないという選択ではなく、子どもが出来ないという選択しかないのは胸が締め付けられました。

普通の子は普通の家にいる

「普通の子は普通の家にいる」第二章で印象的だった文が第三章に繋がっているように私は思いました。第三章は産みの親であるひかりの物語です。普通の家に育ち、普通の中学生のひかりが妊娠し、出産。その後どうなっていくか・・・。

何も妊娠したひかりは特別、特殊な女の子ではありません。ひかりの感情、行動は私も中学生の頃に覚えがあります。気まずい話題は会話に出したくない、自分の子は言わなくてもわかるという両親の気持ちもわからなくもない。ひかりの両親は一方的に話すだけで、ひかりの話に聞く耳も持ちません。ひかりは本来頼れるはずの両親に助けを求めることが出来ず、第四章へ進みます。

朝は来る

第一章での謎が第四章で解かれていきます。

私は、あの子と一緒に海を見た。

おなかの中で、あの子を育てた。

ちびたん、と呼んだ。

守るように手を置いて、一緒に歩いた。産院からの帰り道、「もうすぐだよ。がんばろう」と無邪気に、声をかけて。

[第四章 朝が来る]

 今、私がお腹にいる赤ちゃんにしていることと同じようなことをひかりもしているのです。読み終わってから数日経ってからブログに感想を書いているのにこの文章をタイピングするだけで泣きそうです。

産みの親、育ての親どちらの母親にも感情移入した作品でした。

 

目次

 

第一章 平穏と不穏

第二章 長いトンネル

第三章 発表会の帰り道

第四章 朝が来る

 

著者紹介

 

辻村深月(つじむら・みづき】

1980年山梨県生まれ。2004年「冷たい校舎の時は止まる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。11年「ツナグ」で吉川英治文学新人賞、12年「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞。著書に「水底フェスタ」「オーダーメイド殺人クラブ」「島はぼくらと」「盲目的な恋と友情」「ハケンアニメ!」などがある。

 

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