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as I am

主に本のこと。たまに日記。

次はどこに旅行する?【紀行文集】「ラオスにいったい何があるというんですか?」村上春樹




 

 

旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない

村上春樹、待望の紀行文集

旅っていいものです

疲れることも、がっかりすることもあるけれど、そこには必ず何かがあります。さあ、あなたも腰を上げてどこかに出かけて下さい

 

内容

 

アメリカ各地、荒涼たるアイスランド、かつて住んだギリシャの島々を再訪、長編小説の舞台フィンランド、信心深い国ラオス、どこまでも美しいトスカナ地方、そしてなぜか熊本。旅というものの稀有な魅力を書き尽くす。カラー写真多数を収録。

 

 

日本航空が主にファーストクラス向けに出している機内雑誌「AGORA」、女性向け月刊誌「CREA」など雑誌の為に書いた原稿をここ二十年のものをまとめたもの。

 

 

感想

 

妊娠中に初めて読み終えることが出来た私にとっては記念すべき本

ハルキストとはとても言えないけれど、新刊が出たら必ず買って読んでいます。ほとんどの小説は何度か読み返しているので、私の一番好きな小説家と言っていいと思います。2017年2月に発売された4年ぶりの書き下ろし長編「騎士団長殺し」をとても楽しみにしていたのですが、ツワリ中は活字がとてもじゃないけれど受け付けず断念していました。最近になってツワリも落ち着き、さて久しぶりに何か読んでみるかと思ったときに「騎士団長殺し」はタイトルからして重そうだったので、まだ読んでいない比較的軽そうな「ラオスにいったい何があるというんですか?」を手始めに読むことにしました。

読むと必ず食欲をそそる

村上春樹の小説の好きなところの一つが食べ物が美味しそうなことです。これは本書も同じでした。

しかしボストンにいるときに限っていえば、僕の足はごく自然に、ダンキン・ドーナッツのロゴマークに向かってしまう。そこで顔をしかめながら熱いコーヒーを飲み、ドーナッツをかじり、ボストン・グローブを広げて昨夜のゲームの試合をチェックをする。なぜならそこはなんといってもボストンであり、ダンキン・ドーナッツとは、「ボストン・ステート・オブ・マインド(ボストン的な心のあり方)」の大事な一部であるからだ。

[野球と鯨とドーナッツ ボストン2]

ドーナッツを食べる描写は村上春樹の小説を読めば飽きれるほど出てきます。それなのに読む度に律儀にドーナッツが食べたくなります。わざわざ飛行機に乗り、ボストンまで行って食べたくるのです。ミスタードーナツしか知らない私には、村上春樹のせいでダンキン・ドーナッツは世界で一番美味しいドーナッツです。

[おいしいものが食べたい オレゴン州ポートランド メイン州ポートランド]のレストランの質に驚きました。特にメイン州ポートランドのニューゴズで提供されている野菜づくしのコースが気になりました。ボリュームが多く、味付けが濃い、肉!のイメージがあるアメリカのレストランイメージが変わる気がします。ジャンクフード以外にもちゃんとした料理があるんですね、勝手なイメージと知識の無さが先行していました。ごめんなさい。

タイムマシーンなんかいらない

もしタイムマシーンがあって、それを一度だけ好きに使っていいと言われたら、あなたはどんなことをしたいですか?

[もしタイムマシーンがあったなら ニューヨークのジャズ・クラブ]

タイムトラベル映画はわりと好きなのに、自分がタイムマシーンを使えたらと想像したことがありません。未来を知りたいとも、歴史的な出来事を一目見たいとも、偉人に会いたいとも思いません。預言者になってもろくな事はありそうにないですし、歴史に疎く、会ってみたいほどの偉人もいません。それならば、今を生きている人に会いたいです。例えば、村上春樹。世代は違えど同じ時代、国で生きていることが嬉しいです。時代が違ったり、言葉が違うと小説の絶妙なニュアンスが伝わらないのではないかと思うからです。もちろん、何年経っても言葉が違っても名作と言われるものは名作にかわりはないでしょうが。仮に会えたとしてもどうすればいいか想像がつきません。ミュージシャンなら好きな曲を歌って貰えばいいけれど、なにせ小説家です。せいぜい本にサインをお願いするくらいしか出来ないのではないか・・・タイムマシーン以前に私の夢の無さの問題になってきます。

ラオスには猫がいないのか

村上春樹の紀行文やエッセイを何冊か読んだことがある人には、村上春樹は大の猫好きであることは周知の事実です。小説にも猫が登場します。これもまた知られているように、パーティーや講演が苦手です。私は日本では人前に現れることはまずないと思っていました。本書の[漱石からくまモンまで 熊本県(日本)]では、橙書店の看板猫しらたまくんに会いたいという理由から、日本では1995年以来20年ぶりの朗読とトークを行っています。30人くらいの小規模のようですが、それにしても猫愛の強さを感じます。しかし、カバー写真は堂々と可愛い犬です。

 

目次

 

チャールズ河畔の小径 ボストン1

緑の苔と温泉のあるところ アイスランド

おいしいものが食べたい オレゴン州ポートランドメイン州ポートランド

懐かしいふたつの島で ミコノス島/スペッツェス島

もしタイムマシーンがあったなら ニューヨークのジャズ・クラブ

シベリウスカウリスマキを訪ねて フィンランド

大いなるメコン川の畔で ルアンプラバンラオス

野球と鯨とドーナッツ ボストン2

白い道と赤いワイン トスカナ(イタリア)

漱石からくまモンまで 熊本県(日本)

あとがき

初出

 

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