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as I am

主に本のこと。たまに日記。

恋愛とは?不倫とは?夫婦とは?恋愛小説の女王が恋愛の本質を描く「真昼なのに昏い部屋」江國香織

江國香織



真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫)

真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫)

 

恋愛のあらゆる局面を描いた中央公論文芸受賞作

 

あらすじ

 

軍艦のような広い家に夫・浩さんと暮らす美弥子さんは、「きちんとしていると思えることが好き」な主婦。アメリカ人のジョーンズさんは、純粋な彼女に惹かれ、近所の散歩に誘う、気づくと美弥子さんはジョーンズさんのことばかり考えていた―。

 

 

感想

 

2016年、世間を賑わせた“不倫”の話です。

この本を読むまで私は不倫に容認的でした。理由はいくつかありますが、一番の理由は恋愛とはそういうものだと思っていたからです。不倫も似たようなもので相手がたまたま結婚していただけだと。彼女(彼氏)がいる人を好きになった経験ある人もいるでしょう?

美弥子さんはジョーンズさんの手助けで“世界の外”に出ます。知らなかった世界を知るということは、とてもワクワクしますし、自分がドラマの主人公になったような気分になります。何だって出来る気がするのです。

ヒーローだから敵を死に追いやることが許されるけど、現実では正義だからといって人殺しは許されない(なぜか戦争は別だけど)。不倫も同じで映画や本などの想像の世界では許される行為だと私は思っています。想像上のヒーロー(ヒロイン)に自分がなるのは自制心がないからです。美弥子さんは世界の外に出たことによって、セーブし過ぎていた自制心の反動からコントロールが効かなくなってしまったのです。

そう思った途端、初めて不倫に対して嫌悪感を抱きました。(結婚をした、子供が出来たという自分自身の変化が影響もしているのは否定できませんが)主要人物である美弥子さん、浩さん、ジョーンズさんの3人の心情にも読むほど苛立ってきます。3人とも驚くほど自分中心で物事を考えています。自分の行動、発言でどう未来が変わるのか全く頭に過ぎりもしないのです。その結果が最後の結末だと思います。

小説、映画、ドラマという空想の世界だから楽しめることもあるのではないでしょうか。だから、昔から不倫を題材にしたものがあり、根強い人気があるのです。それが恋愛だから現実もOKとはならないのです。現に自制出来ている人もいるわけですから。

恋愛という誰もが経験したことのある感情をここまで読み手を揺さぶるのは、さすが江國香織だなぁと思いました。個人的にはドロドロしていない江國香織作品の方が好きですが。