読書芸人・又吉先生のオススメ「夏の裁断」島本理生

 

 

 

「夏の裁断」島本理生

 

暑苦しい夏に読むにはピッタリの本です。主人公が鎌倉の家で本を裁断している時は読んでいる私まで暑苦しいと感じますが、男性編集者と翻弄されている主人公には危なっかしくて冷や冷やします。最後は人間の怖さ、心の闇に怪談話並みにゾクッしました。

第153回芥川賞の候補作だったんですね。読んだ後に知りました。

夏の裁断

夏の裁断

 

バラメーター

恋愛度   ★★★★★ 星5つ

恋人と別れた直後は大丈夫なのに、少し日にちが経つと似たようなことを私もやっていました。今は連絡先を消しても、SNSで繋がることが出来るから、連絡を取らないようにする、相手の現在の情報を消すことは困難ですよね。便利なようで不便だ。

いけないと分かっているのに、残りのきんぴらをすごく大事に、ひとかけずつ口に運びながら、柴田さん充てに架空のメールをつくった。何度も文章を直して、番号もアドレスも消したことを再確認するように履歴を見直してから、メールを消した。

家族度   ★★★☆☆ 星3つ

日本人にとって?、人間にとって?、母親の存在は大きく、母親から自立出来ない人は今の世の中多いように感じます。なんでなんだろう?

「母とは少なくとも日本人にとって『許してくれる』存在である。子供のどんな裏切り、子供のどんな非行にたいしても結局は涙をながしながら許してくれる存在である。そして裏切った子供の裏切りよりも、その苦しみを一緒に苦しんでくれる存在である」(『弱者の救い』傍点筆者)と。