「田舎の紳士服店のモデルの妻」宮下奈都
2016年本屋大賞に「羊と網の森」がノミネートされている作家・宮下奈都さんの本。今年は西加奈子さん、宮下奈都さんを交互に読んでいる。
「羊と網の森」はピアノ調律の話らしいが(未読)、「田舎の紳士服のモデルの妻」もピアノが出てくる。他の作品も音楽が絡むので、宮下さんは音楽好きではないかと思っている。
カバーイラストは加藤木麻莉さん。
文庫本カバーをよく描かれているイラストレーター。
解説は辻村深月さん。
辻村さんも「朝が来る」が2016年本屋大賞にノミネートされている。
映画化もされている人気作家なので、いずれ読みたいと思っている。
本は購入済みで、読み待ち状態。
あらすじ
夫がうつ病になり、ずっと東京で暮らすものだと思っていた梨々子は夫の故郷に移り住むことになる。子供二人の子育てをしながら、慣れない田舎に戸惑い、夫とはすれ違いを感じる「普通の私」の30歳から40歳までを描いた作品。
目次
0年 かすりの梨々子、田舎に立つ
2年 潤とピアノと二人三脚
4年 たくさんの間違い、ひとつの出会い
6年 歩人とたのしいかぞく
8年 誕生日が待ち遠しい
10年 とりあえず卒業おめどとう
バラメータ ※ネタバレあり
恋愛度 ★★☆☆☆ 星2個
モテた梨々子は自分から誰かを追いかけたことがない。
唯一燃えたのが夫である達夫である。
にも関わらず、子供が生まれてから冷めた状態が続いている。
そして、アサヒに対して胸を騒がせている。
結婚していても夫以外の人に揺らぐことはあると思う。
それはいいのだが、やり取りが幼稚に感じた。
友情度 ★★★★☆ 星4個
東京住まいの時にママ友である筒井さん。
引越しすることになった10年日記を渡した人。
何だかんだ言っても10年連絡を取り合っているのがすごいと思った。
住む場所が離れたことによって言えること、小さな自慢、僻み・・・。
家族度 ★★★☆☆ 星3個
梨々子は強いと思う。
幼い子供と一緒に見知らぬ土地へ住むのは容易ではないと思う。
夫はうつ病なので、気を遣うこともあると思う。
私自身も転勤族なので、その土地に慣れることがいかに大変か身を持って感じている。
イケメン度 ★★☆☆☆ 星2個
梨々子の夫・達夫。
梨々子が追いかけ、紳士服のモデルをするくらいだから見た目がよいことが何となく想像できる。
結婚10年記念にシャンパンを内緒で用意するところは素敵だ。
オシャレ度 ★☆☆☆☆ 星1個
東京から夫の田舎に引っ越すために服の整理をする梨々子。
東京ではそれなりのオシャレママだったことが伺える。
グルメ度 ★☆☆☆☆ 星1個
料理を家族に振舞っているような描写はない。
一息つく時にマグカップで飲む紅茶が印象的である。
梨々子は紅茶が好きなようだ。
感想
「スコーレNO.4」の大人バージョンという印象を受けた。
梨々子の10年間の話なのに違和感がなく、時が過ぎている。だからいって、話が抜けている感んじはせず、いたって自然。
自分も梨々子のようになるのかな・・・という焦りに襲われた。
今まで読んできた宮下奈都さんの小説は未婚の女性が主役。
少し考え方、家族の見方が違う本が読めたのは自分にとって新しかった。